校長のパワハラ認定 那覇地裁、622万円賠償命令

校長のパワハラ認定 那覇地裁、622万円賠償命令
琉球新報 2018/1/31(水) 7:04配信

 沖縄県那覇市立中学校の教頭だった女性(60)が2011年の勤務当時、校長のパワーハラスメントでうつ病を発症し退職に追い込まれたなどとして、市に4252万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁(森鍵一裁判長)は30日、パワハラと降格、退職の因果関係を認め、国家賠償法に基づき市側に約622万6千円の支払いを命じた。

 同法は公務員の過失による損害には公共団体が責任を負うと定める。控訴について市教育委員会は「判決文をよく検討した上で対処したい」と述べるにとどめた。判決は当時の校長が女性を校長室に呼び「こんな教頭はいない」「能力がない」などと繰り返し叱りつけ「確信犯的にこのような言動に至った」と認定し「一方的で行き過ぎた言動により原告の人格を傷つけた」として、校長の言動とうつ病発症には因果関係があると判断した。

 その上で女性が休職せざるを得ず降格を願い出たことは「やむを得ない」とし、降格と退職も言動が原因だったと認め、因果関係を否定した市側の主張を退けた。

 女性側は退職後に発症した認知症もパワハラが原因と訴えたが、判決は因果関係を認めず、定年まで在職可能だった期間のうち認知症発症後の約4年半の給与に相当する損害は認めなかった。

 元教員でもある女性の夫は「同じような犠牲に遭う教員が出ないよう人事評価や精神的なケアの体制づくりなどに取り組んでほしいい」と話した。

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「妻は人生を狂わされた」 相談しづらい学校現場のパワハラ
沖縄タイムス 2018/1/31(水) 6:10配信

 当時勤務していた中学校の校長から厳しく叱責(しっせき)されるなどパワーハラスメントを受けて退職に追いこまれたとして、元教頭が損害賠償を求めていた訴訟で、校長のパワハラが認められた。今回表面化したような学校現場のパワハラは「氷山の一角」との指摘もあり、沖教組や高教組は組織的な相談体制や防止策の強化を求めている。

 沖教組が小中学校や幼稚園の教職員を対象に実施した2016年度のアンケートでは、パワハラやセクハラを受けたことがあるとの回答が164人。管理職による人事評価が給与に反映される教職員評価システムも始まり、「管理職にパワハラなどの問題があっても相談しにくい」との声もある。

 市町村立小中学校の教員の場合、各市町村教委がパワハラなどの相談窓口になるが、対応にはばらつきもあるとされる。

 県立高校の教員などに対しては、県教委がホームページや電話などで相談を受け付けているが、17年度の相談件数はこれまでゼロ件で、浸透しているとは言い難い。

 沖教組の佐賀裕敏委員長はパワハラを認めた判決について「管理職にハラスメントの深刻さを考えてもらうきっかけになる」と一定の評価をしつつ、「市教委の責任に言及していないことには不満が残る。相談窓口が十分ではない市町村教委もあり、もっと責任意識を持ってほしい」と要望する。

うつ病の後に認知症を発症

 「二度とパワハラ問題を起こさないで」。判決を那覇地裁で聞いた原告の夫(60)=豊見城市=は、被告の那覇市側に求めた。うつ病の後に認知症を発症した妻は介護が必要で、法廷に来ることができない。今でも教壇で熱心に教える元気な姿が目に浮かぶ。「妻は人生を狂わされた。人の命に関わる問題だと理解してほしい」と訴えた。

 国語教諭だった妻は責任感が強かったという。校長の言動で病気休職に追い込まれても、「他の教員に迷惑がかかると、自分を責めていた」と振り返る。

 夫は妻の休職が長引くことから、教頭の補充を市教委に求めたが「(妻が)降格しない限り、教頭ポストは空かない」と取り合ってもらえなかったという。「復職を支援する姿勢ではない。もっと違う対応ができたはずだ」と憤る。

 「教員は人を育てる仕事」が口癖だった妻。その道半ばで、なぜ退職に追い込まれなければなかったのか。「学校の職場環境がよくならないと子どもたちは育たない。原因を解明して説明してほしい」と語った。

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