人目付かない前夜に侵入、室内で待ち伏せか 保育士殺害
産経新聞 2019/4/2(火) 16:46配信
東京都杉並区下井草のアパートで保育士の照井津久美(つぐみ)さん(32)が殺害され、殺人容疑で同僚の保育士、松岡佑輔容疑者(31)が逮捕された事件で、アパートの住人が事件前夜に侵入経路とみられる屋根からの物音を聞いていたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁荻窪署捜査本部は松岡容疑者が人目に付かない夜のうちに屋根伝いに照井さん方に侵入し、事件当日の正午ごろまで室内で待ち伏せしていたとみて調べている。
事件直後、アパート付近の防犯カメラに写っていた松岡容疑者とみられる人物が、リュックサックのようなものを背負っていたことも判明。照井さん方のベランダの掃き出し窓のガラスにバーナーなどで熱した上、工具で割ったような形跡があり、こうした道具などを入れていた可能性がある。捜査本部は松岡容疑者の関係先からリュックを押収し、詳しく調べている。
捜査関係者によると、物音は事件前日の深夜〜当日未明、屋根方向から聞こえたという。同時間帯にアパート周辺をうろつく不審な男の姿が防犯カメラに写っており、屋根の上にはアパートの外廊下側から照井さん方のベランダに向かってスニーカーのような足跡が残っていた。
松岡容疑者の自宅からは同型のスニーカーは見つかっておらず、捜査本部は捜査を逃れるために事件後に処分した可能性があるとみている。現場の遺留物のDNA型が松岡容疑者のものと一致しているが、松岡容疑者は調べに「部屋には行ったが、私は刺していない。他の男がやった」などと容疑を否認している。
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侵入に計画性も凶器持ち込まず 保育士殺害、動機が焦点
産経新聞 2019/4/2(火) 20:00配信
東京都杉並区下井草のアパートで保育士の照井津久美(つぐみ)さん(32)が殺害された事件では、照井さんが夜勤で不在となる時間帯を狙い、空き巣と同じ手口で侵入するなど計画性がうかがえる一方、室内にあった包丁を凶器に使うなど場当たり的な要素も目立つ。殺人容疑で逮捕された同僚の保育士、松岡佑輔容疑者(31)は、照井さんと同じ職場で6年ほど勤務し、一方的な好意を抱いていたとされる。警視庁による捜査は、動機などの経緯の解明が最大の焦点となる。
捜査関係者によると、松岡容疑者は事件前日の3月25日と当日の26日は勤務が休みだった。一方、照井さんは25日夕方から夜勤に入っており、松岡容疑者はこうしたタイミングを見計らっていたとみられる。屋根の足跡は照井さん方のベランダへ一直線に向かっており、捜査関係者は「アパートの構造や、照井さんの部屋の場所を事前に把握していなければ侵入は難しい」とみる。
計画性を際立たせているのが、ベランダの掃き出し窓からの侵入手口だ。鍵付近の狭い範囲でガラスを熱し、ドライバーなどの工具で突いて割る「焼き切り」と呼ばれる手口で、空き巣などの侵入盗が使うことで知られる。
熱し方が弱いなど、常習犯と比べると手慣れていないような状況があり、事前に方法を調べるなどして道具を用意し、まねた可能性がある。室内からは鮮明な指紋も検出されておらず、手袋をつけていたとみられる。
一方で、当初から照井さんを殺害する目的で侵入したとみるには不可解な点もある。照井さんの傷の深さは約15センチで左肩付近から胸のあたりにまで達していた。包丁の柄が折れるなどしていたことから「強い殺意」があったとされるが、包丁は室内にあったものだった。
照井さんは激しく抵抗したとみられ、室内にあった洋服掛けが倒れるなどしていたほか、ベランダの隣室との仕切りも壊れていた。激しい物音や照井さんの悲鳴を複数の近隣住民が聞いており、松岡容疑者は、照井さんに騒がれるなどしたことで衝動的に包丁を持った可能性も浮かぶ。
臨床心理士の矢幡洋(よう)氏は今回の手口について「不在時を狙って侵入したとすれば非常に悪質かつ巧妙」とする一方、凶器を持参せずに殺害したとみられることについては「突発的な激しい感情をコントロールできなかったのでは」と分析。「被害者に対する執着は感じられるが、犯行全体からは一貫した目的が見えにくい」と話した。