いじめ全容解明急ぐ 岐阜市の中3死亡1カ月
岐阜新聞Web 2019/8/3(土) 7:53配信
岐阜市の市立中学校3年の男子生徒(14)がマンションから転落死してから3日で1カ月が経過した。自宅からいじめを受けていたことを示唆するメモが見つかっている。7月から外部有識者でつくる「いじめ問題対策委員会」が、いじめの実態調査を本格化させており、学校や市教育委員会の対応に問題がなかったのか真相究明が焦点となる。各学校は校長が率先していじめに対応するようガイドラインの見直しを始めた。
市教委によると、5月末に同級生の女子生徒が、2人の男子生徒から給食で食べ物を押しつけられたトラブルなど亡くなった男子生徒へのいじめがあることを訴えるため、担任教諭にメモを渡した。担任は2人の生徒に指導したが、亡くなった男子生徒との面談で、「問題は解決した」と判断。副主任にはメモを見せたが、校長ら管理職との間で共有されることがなく、シュレッダーで廃棄した可能性がある。
男子生徒が亡くなって以降、同級生十数人から、男子生徒が金銭を要求されていたり、トイレで土下座をさせられたりしていたことなど、いじめの情報が寄せられた。
7月12日からいじめ問題対策委員会による調査が始まった。これまでに男子生徒が通っていた学校の全生徒を対象に、いじめの実態を調べるアンケートの結果を分析中。今後、生徒や教職員の聞き取りをし、学校や市教委がいじめを防げなかった要因も含め全容を解明していく。年内をめどに再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめる。
各学校では、いじめ防止対策推進法に基づくガイドラインが策定されているが、市教委は、男子生徒の学校ではガイドラインが「機能していなかった」(早川三根夫教育長)として、校長を中心にいじめを解決する指導体制を敷くよう見直しを指示した。
一方、柴橋正直市長は、問題を重く受け止め、教育全般を見直すために「教育再生会議」を秋にも設置する方針を表明。教育や医療など幅広い分野の有識者で構成し、市の教育大綱を見直すとともに、生命の尊厳を学ぶ教育の重要性などについて約1年間議論し、市長に答申する。
県警も遺族や生徒、学校関係者に事情を聞いて、いじめの実態を調べている。
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