所沢中1自殺、いじめ認定 学用品壊され、侮蔑的あだ名も…市教委が報告書公表 教職員の問題も指摘
埼玉新聞 2019/12/14(土) 8:32配信
埼玉県所沢市内の踏切で2017年7月に自殺した市立中学1年の男子生徒=当時(13)=を巡り、市教委は13日、弁護士などからなる第三者委員会の調査報告書を公表した。自殺の原因について、侮蔑的なあだ名で呼ばれるなどのいじめがあったと認定した上で「勉強や部活動、友達関係、教師との関係など複数の要因があった」とした。また教職員の資質や連携不足の問題を指摘した。
調査報告書では、男子生徒は複数のあだ名で呼ばれていたほか、父親から入学記念に贈られた学用品を壊されるなどのいじめを受けていたと説明。休み時間に読んでいた本をはやし立てられていたことも報告している。
自殺の背景について、勉強面で画一的な指導を押し付けられたことや部活動の面では負荷が高いことに伴い、両方の面での苦手意識が高まっていったことを挙げるとともに「いじめを受けたことで自尊心が低下していった」などとした。
教職員の資質の問題や連携のなさにも問題があると指摘した。
学校が行ったアンケートで男子生徒は「要支援対象者」だったが、担任はこの結果について詳細に目を通していなかった。
報告書では生徒への配慮の低さがあり、こうした積み重ねが男子生徒を追い詰めていった可能性があるとした。また男子生徒の変化に気付いていた教職員や心配を感じて声を掛けていた教職員もいるが、適切に横に広がっておらず情報交換も適切に行われていなかったとしている。
調査報告書は事故後、いじめ防止対策推進法に基づき第三者委員会が調査を行い、昨年8月に遺族に報告書を提出。内容や公表の方法などについて協議を重ね、公表された。
男子生徒の両親は報告書とともに公開された所見で「報告書を公表することで学校が抱える問題点を多くの方に共有してもらい、いじめや教師の理不尽な指導で心も体も傷つく子どもを生み出さないためには、どうすればよいかを考えてもらうきっかけにしてほしいと思う」と述べている。
男子生徒は17年7月10日午前7時半ごろ、市内の西武池袋線踏切で列車にはねられ死亡した。男子生徒が踏切に進入した状況などから自殺と判断された。
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所沢中1自殺、教職員の配慮や連携不足を指摘…第三者委が報告書 市教委が謝罪「再発防止に努める」
埼玉新聞 2019/12/14(土) 9:30配信
埼玉県の所沢市で2017年7月に自殺した市立中学1年の男子生徒=当時(13)=を巡り、いじめと認定した第三者委員会の調査報告書が13日、公表された。調査報告書は問題の背景に教職員の配慮や連携のなさを指摘している。市教育委員会は同日、市役所内で会見し、「尊い命を救うことができず、おわび申し上げる」と謝罪した上で、「調査報告書を踏まえ、再発防止に努める」とした。
会見には出居正之学校教育部長と戸村達男同次長が出席した。報告書が公開されるまでの経緯説明が行われた後、「尊い命を救うことができずおわび申し上げる」と謝罪した。「今後調査報告書を踏まえ、一人一人の心に寄り添った教育を進めるとともに教員の指導力向上、子どもたちのSOSを受け止めるシステムの構築、教職員の感性を高める教育に取り組み再発防止に努める」とした。
調査報告書とともに公開された所見の中で両親は、担任について「担任であり部活副顧問、委員会も一緒のベテラン教師がいじめを見抜けなかったとしたら、教師としての資質を疑わざるを得ません。いじめがクラス内に蔓延(まんえん)した責任は担任にあると思っています。適切な処分を切に願います」と訴えている。
担任だった女性教諭は現在も他の中学校で教壇に立っているといい、女性教諭への指導については「至らない点があれば指導している。一人一人に沿った指導をするようにと指導している」とし、処分について市教委は「今後検討する」とした。
調査報告書では、教職員同士の情報交換が適切に行われていなかったことが指摘されていたが、市教委は「調査報告書を受けて改善に努め、アンケートなどを実施した後すぐに情報共有をし、方針を定め共通理解の下で対応している」と説明した。
男子生徒が自殺した中学校では翌年にも中1の男子生徒が自殺する事案が発生し、第三者委が調査している。今年7月には、中2男子生徒が同級生に殺害される事件が起きている。市教委は「教員の資質向上に取り組んできたが、功を奏していないことは受け入れるべきで反省して今後も取り組んでいく」とした。