中学生がSCI論文の共同著者…実際は教授の知人の娘だった(韓国)

中学生がSCI論文の共同著者…実際は教授の知人の娘だった
朝鮮日報日本語版 2020/1/8(水) 12:01配信

 5年前、国際的に著名な学術誌に掲載された工学分野のある論文に、ソウル市内のある女子中学生の名前が共同著者として掲載されていたことが7日までに分かった。この論文は韓国政府が出資する研究所の支援を受けて作成されていた。

 論文の責任著者となっている米国のある大学教授はこの女子中学生について、研究所に「知人の娘」と説明したが、この女子中学生が共同著者として具体的にどのような役割を担当したのかは明らかにしなかった。教授は韓国系米国人で、問題の論文は高校生だった自らの息子も共同著者の一人になっていた。

 最近入試不正疑惑まで表面化したチョ・グク元法務部(省に相当、以下同じ)長官の娘が医学論文の第1著者となっていた問題のように、このケースも責任著者だった大学教授が本人や知人の子女に著者の地位をプレゼントした可能性が排除できない。しかし研究費を支援した研究所側は一連の事実を把握していたが、二人について著者としての資格があるかしっかりと検証していなかった。

 科学技術情報通信部が先日、政府が出資する科学技術分野の研究所25カ所から発表された研究論文を調べたところ、未成年者が共同著者、あるいは第1著者となっているケースは上記を含め100本以上に達することが分かった。科学技術情報通信部は今年上半期中にこれらの論文について▲研究倫理に違反していないか▲大学入試に悪用された可能性はないか―などを検証する予定だ。

■所属がソウル市内の中学校となっていた共同著者
 本紙が7日までに確認したところ、政府の出資する材料研究所と生産技術研究院から支援を受け、2015年5月に国際学術誌『エレクトロキミカ・アクタ(Electrochimica Acta)』に掲載されたある論文の共同著者に女子中学生と教授の息子の名前があった。この学術誌は世界各国の研究者からたびたび引用され、審査も厳しいSCI(国際学術誌データベース)論文誌の一つだ。電気・化学分野では世界5位圏内に入るとの評価もある。

 論文はアルミニウムを米粒状の先端がとがった楕円(だえん)形粒子に合成する方法を実験によって解明したもので、著者は上記の大学教授をはじめとする9人だ。その中には材料研究所や生産技術研究院など政府系の研究所に所属する研究者と共に、女子中学生と教授の息子も著者として記載されていた。そのため論文には女子中学生が通うソウル市瑞草区の中学校、息子が通う米カリフォルニア州の高校の名前もあった。

 材料研究所は科学技術情報通信部の要請を受け、先月女子中学生と教授の息子に著者の資格があるか検証する研究倫理委員会の予備調査を行った。しかし教授からは「高校生は息子」「女子中学生は知人の娘」としか説明を受けておらず、二人の具体的な役割や研究に実際に関与した期間については調査が行われなかった。材料研究所からは「女子中学生はすでに高校生か大学生になっているはずだが、問題の論文を自らの実績として高校や大学などへの進学に活用しなかったか調査が必要だ」との指摘も上がっているが、研究所側はこれを黙殺した。生産技術研究院も予備調査で「米国人大学教授が責任著者となっている論文を調査する理由はない」として調査委員会そのものを立ち上げなかった。

■政府が出資する研究所では未成年者が著者の論文が100本以上
 科学技術情報通信部は今年上半期、出資する25の研究所を対象に、未成年者が著者となっている論文で著者の資格が実際に検証されたか確認することにしている。同部は昨年10−12月にも同様の調査を行ったが、それによると今回のように政府が出資する科学技術分野の研究所が発表した論文のうち、未成年者が著者に含まれていたケースは2007−18年の期間に100本以上あった。うち15本は責任著者や第1著者が未成年著者の親だったという。実際に同部が確認した。

 科学技術情報通信部のある関係者は「未成年者に本当に著者の資格があったのか、また研究所などが適切な検証手続きを踏んだのかについても調査を行うことにしている」とコメントした。

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