わいせつ教師が後を絶たないワケ 2か月で4回逮捕された男も
NEWS ポストセブン 2020/9/15(火) 16:05配信
短かった夏休みが終わり2学期が始まった学校現場で、教育関係者の頭を悩ませる事件が相次いでいる。教員のわいせつ事件が続出しているのだ。さすがに文部科学省も重い腰を上げて対策に乗り出そうとしているが、その中身にも批判が高まっている。いったい何が起きているのか──。6月にもこの問題を取り上げたジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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──。6月8日の当欄で教員のわいせつ事件の実態を取り上げた際のタイトルだ。2018年度には全国で282人の公立学校教職員がわいせつ行為等で懲戒処分を受けたことや自治体の取り組み例などを紹介した。
それから3か月。残念ながら事態は一向に改善していない。
(9月3日)
(8月31日)
(8月25日)
(8月15日)
など、わいせつ事件が全国各地で相次いでいるのだ。
仰天するような事件も発覚した。この男、わいせつ関連で6月から7月にかけ、なんと4回も逮捕されたのだ。
1回目は6月16日。逮捕容疑は県青少年育成条例違反。2018年8月下旬、18歳未満と知りながら県内在住の少女にみだらな行為をしたというもの。少女の母親が今年6月になって県警に相談し、発覚した。
2回目は6月26日。3回目は7月1日。そして7月27日には4回目の逮捕。9月1日に一括で起訴され、同日、栃木県教育委員会はこの男を懲戒免職とした。2017年から2020年1月にかけて男が相手にしたのは、あわせて3人の少女。みだらな行為をして、その様子をスマホで撮影していたという。
男は最初は正式の教員ではなく、採用試験を目指して那須烏山市の中学校に勤め、2018年の事件当時は別の市の中学校で常勤講師だった。その後、2019年4月に教員として新規採用され、那須烏山市の中学校に理科の教員として勤務するようになった。今年1月の事件の際は、バリバリの現役教員だったことになる。
男が勤めていた中学校の校長は、「ふだんの生徒指導には問題がなく、よくやっていた」と語ったと報道されている。男に接見して聴き取りを行った県教委の担当者によると、「(本人は)逮捕事実に関しては認めています。中学校での指導ぶりは熱心だという報告がありました」とのことだった。
教員を目指していた時期から始まったわいせつ行為は、念願の教員となった後も続いていたということだ。ネット上には、以前に勤務していた学校時代のあだ名や、男の行状などが写真付きで書き込まれている。これらの情報が、どこまで本当なのかは分からないが、こうした人物が正式に採用され、教壇に立ち、正規の教員になってからもわいせつ行為を行っていた事実にあ然とさせられてしまう。
文科省はなぜ問題教師の処分強化に及び腰なのか
一向になくならない教員のわいせつ事件を前に、文部科学省がようやく重い腰を上げた。
「児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつ行為を行うことは、決してあってはならないことだと思います」
「処分から3年を経過すると再び免許状の授与を受けることが可能となっていますが、これを厳しい仕組みに変えていく必要があると認識しております」
「この問題は、私としても非常に重要な問題と考えておりますので、私の責任において、できるだけ速やかな法案提出を念頭に、しっかりと進めてまいりたいと思います」
わいせつ行為で懲戒処分を受けても、処分から3年経過すれば再び免許取得が可能となる教育職員免許法の改正に向けて、「私の責任でやる」と言い切ったのである。
これを受けて、これにはさっそく、「本質的には現行法と変わらない」などと各方面から異論が噴出。当の大臣さえも翌日の閣議後会見で、「それだけで足りるものでは全くない。より幅広い視点から実効性のある法案を検討し、できる限り速やかに国会に法案を提出できるように準備を進めていきたい」と語ったほどだ。
文科省がこの期に及んでなお、抜本的な対策に及び腰になっている背景には、免許再取得禁止などの厳しい内容は、憲法第22条が保証する“職業選択の自由”に抵触するからだとみられている。「わいせつ教師=加害者の人権」と「被害児童・生徒=被害者の人権」のどちらが大切なのか。
医師の場合も免許取り消し処分があるが、処分の日から5年の待機期間を過ぎれば再免許申請が可能になる。だが、医師は個人が受診の有無を選択できるが、教師の場合、児童・生徒に選択の自由はない。3年から5年の延長だけでは、問題の根本解決にならない。
ネット上には「免許再取得を認めるな」の声多数
文科省の改正案を報じたニュースには、ネット上でも批判的な意見が大半だ。
〈永遠に取得させないようにすべき。被害者の心の傷は一生癒えないのに、加害者である教員はのうのうと教壇に立つ、こんな理不尽なことはない〉
〈二度と戻れないようにすべき。一部のおかしな教員のために、現場で必死に頑張っている我々も迷惑を被っている〉
〈意図的なわいせつ行為に関する免許はく奪は当然。冤罪的な案件に対しては情状酌量の余地がある〉
〈労働環境が悪い→志願者が減る→採用教員の質が低下→不祥事→風当たりがきつくなる→労働環境が悪化の悪循環〉
〈今の文科省には教員の履歴を一元管理でチェックするシステムがない。3年後に違う県で復活することが十分可能〉
〈教員免許を医師などと同じ国家資格にすべき〉
もちろん、こうしたわいせつ事案で懲戒処分を受ける教員はごく一握りである。2018年度の処分者は全体の0.03%に過ぎない。大半の教員からすれば迷惑極まりない話題だろう。しかし、その0.03%の教員によって心にトラウマを抱えてしまう子どもたちが多数いるのだ。
問題の根本解決に向けて考えれば、教職員免許法の改正といったレベルでは済まないのではないか。教員免許取得制度のあり方、採用試験のあり方、教員研修のあり方、不祥事を起こした教員に関する情報管理のあり方、教育委員会のあり方、そして文科行政のあり方──。すべてにメスを入れるべき時期に来ているのではないだろうか。
9月15日になって、文科省が、わいせつ行為などでの懲戒処分歴を教育委員会が閲覧できる期間を現行の3年から40年に延長する方針だと報じられた。こんなことがなぜ、今までできなかったのか。小手先の対策でお茶を濁しているようでは、子どもたちの安心・安全は守れない。