教員免許、うっかり失効相次ぐ 50代教諭が新卒扱いに
朝日新聞デジタル 2021/4/5(月) 18:42配信
教員免許の更新を怠ったために、教員が失職する事例が相次いでいる。文部科学省によると、2020年度に免許を失効し、すぐに再取得した教員は少なくとも24人いた。「うっかり失効」と呼ばれ、09年度に始まった更新制度の理解不足が一因だ。再び教壇に立てる保証はなく、学校現場にとっても大きな負担になっている。文科省は制度の見直しを検討している。
熊本市では昨年11月、市立小学校の50代男性教員の免許失効が明らかになった。市教育委員会の発表によると、校長、教頭に次ぐナンバー3の主幹教諭。免許の期限は昨年9月末までだったが、主幹教諭は更新のための講習を免除される対象で、受講しなかったという。
ところが、男性は講習免除のために必要な県教委への事前申請をしていなかった。教頭が11月に気づいたがすでに失効していたため、男性は失職し、退職金が支払われた。
市教委によると、男性は昨年12月までに約30時間の講習を受けて免許を再取得し、別の学校の臨時教員になったという。市教委の担当者は「新卒と同じ扱いになり、本人も学校も大変ショックを受けた。救済措置がないのは気の毒だ」とため息をつく。
埼玉県の県立特別支援学校の臨時教員だった30代男性も昨年7月、採用が無効になった。男性は更新制度開始前の09年3月に免許を取得。民間企業に勤めた後の昨年4月、教員を志望し採用された。だがその11年間に免許更新をしておらず失効していた。県教育局も採用時に確認を怠っていた。