わいせつ教員DB化、児童の「心の傷」対策…与党WTが新法素案
読売新聞オンライン 2021/4/20(火) 21:00配信
自民、公明両党のワーキングチーム(WT)が検討を進めているわいせつ教員対策の新法の素案が20日、明らかになった。国が「基本指針」を策定し、免許失効者のデータベース作成などの対策を講じるとした。新法制定の目的には、児童生徒の「心の傷」の問題も明記され、子供の尊厳や権利を守ることの重要性が盛り込まれた。
新法は、「教職員による児童生徒性暴力の防止などに関する法律案(仮称)」。WTでは野党に協力を呼びかけ、5月中旬にも超党派の議員立法として法案を提出する考えだ。
素案では、教員免許が失効した場合、各教育委員会がその教員の情報を登録し、文部科学省がそれを一元的にデータベース化。そのうえで、各教委や学校法人などが閲覧し、採用の参考とする新たなシステムを構築するとした。
また、教員や教員養成課程の学生にわいせつ行為防止を啓発し、教委などは専門家に調査への協力を求め、犯罪の疑いのある事案を告発することも明記された。
現行の教員免許法では、免許が失効しても3年たてば再取得できるが、新法では各教委が第三者委員会の意見を基に、再交付の可否を判断する「裁量権」を認めた。その際、教員の更生状況などを勘案するとした。
一方、わいせつ教員問題では、被害を受けた児童生徒は心に大きな傷を負うことが指摘されている。新法の目的には、「回復しがたい重大な心理的外傷を与える」として、その対策を推進する必要性が明記された。
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萩生田文部科学相は20日の閣議後記者会見で、与党の進める新法について、「わいせつ教員を現場から排除していこうという姿勢は大事だ」と評価した。ただし、教育委員会に免許再交付の「裁量権」を持たせる点については「国にその部分のルール作りを求められても、そう簡単ではない」と付言した。
◆素案のポイント
▽法制定の目的に性暴力による「心の傷」の問題を明記
▽性暴力による教員免許失効者のデータベースを国が整備
▽疑いがある時は専門家と調査し、犯罪と思慮される事案は警察へ告発
▽各教委は免許の再交付では「更生状況」などを勘案