近大元教授を詐欺容疑で立件へ 医学部や自宅を捜索 大阪府警
毎日新聞 2021/5/11(火) 16:43配信
近畿大医学部法医学教室の元主任教授(66)=懲戒解雇=が医療用品の架空発注で大学の経費を不正受給した疑いが強まったとして、大阪府警は11日、詐欺容疑で近畿大医学部(大阪狭山市)など元教授の関係先を家宅捜索した。捜査関係者が明らかにした。府警は元教授を立件する方針で、押収した関連資料の分析や関係者への事情聴取など詰めの捜査を進めている。
捜査関係者によると、府警の捜査員は11日午前、医学部の研究棟内にある法医学教室に捜索に入った。午後には大阪市天王寺区の元教授宅も捜索し、電子機器や資料などを押収したとされる。
元教授は犯罪死が疑われる遺体の死因を究明する司法解剖が専門。府警の依頼を受け、約40年間で計約4000件を担当してきた。
近畿大などによると、元教授は2019年4月〜20年12月、司法解剖で使うマスクや手袋などの医療品を、医療機器販売会社から納入したように装って領収書35枚を偽造。この領収書を大学に提出する架空請求を繰り返し、約1780万円を不正に受給したとされる。業務用の携帯電話を家族に渡し、約90万円の使用料も大学に負担させていた。
捜査関係者によると、領収書には医療機器販売会社の偽造された社印が使われており、元教授を担当していた元社員も一連の架空発注に関与した疑いがある。
問題は21年3月、定年退職の直前だった元教授の引き継ぎ作業の過程で発覚。大学の内部調査では、元教授がゴルフ用品や電化製品などを経費で購入し、私的流用していた疑いがあることも判明している。近畿大は3月30日付で元教授を懲戒解雇した。
元教授は大学の調査に不正への関与を否定。毎日新聞の取材にも代理人弁護士を通じ、「不正は知らない。(業者に)だまされた」と反論している。【沼田亮、木島諒子】