<独自>警察協力章 異例の取り消し 詐取事件の近大元教授
産経新聞 2021/7/8(木) 13:18配信
大阪府内で長年司法解剖に携わってきた近畿大医学部法医学教室の元主任教授、巽信二容疑者(66)=懲戒解雇=が大学から経費を詐取したとして詐欺罪などで逮捕、起訴された事件に絡み、警察庁が巽容疑者に贈呈した警察協力章を取り消したことが8日、警察関係者への取材で分かった。警察協力章は警察庁長官から民間人に贈られる最高位の表彰で、取り消されるのは極めて異例。起訴を受け、「章にふさわしくない非行があった」と判断したという。
巽容疑者は約40年間にわたり、犯罪死の疑いがある遺体の司法解剖を計約4千件実施。警察協力章は、長年にわたり捜査に貢献したなどとして大阪府警が推薦し、今年2月に警察庁長官から贈られた。3月末で大学を定年退職する予定だったが、経費詐取問題によって同月に懲戒解雇された。
巽容疑者は、解剖に使う医療用品を購入したとする虚偽の領収書などを大学側に提出し、経費約1700万円をだまし取ったとして逮捕、起訴されたが、府警は6月30日、近大からさらに約2170万円をだまし取ったとする詐欺容疑で再逮捕した。府警はさらに余罪がないか調べている。
府警は3月から、近大への司法解剖の依頼を停止している。
警察協力章は、警察活動に協力した民間人に警察庁長官から贈られる最高位の表彰。これまでに死因解明に尽力した医師らのほか、交通安全や少年非行の防止に取り組んできた人たちも受章している。東京都新宿区のJR新大久保駅で平成13年1月、ホームに転落した男性を救出しようとして電車にはねられ、死亡した韓国人留学生らにも贈られている。