キャンパス・セクハラの怖さ 教授による「グルーミング」という巧妙手口…あなたのお子さんは大丈夫?

キャンパス・セクハラの怖さ 教授による「グルーミング」という巧妙手口…あなたのお子さんは大丈夫?
日刊ゲンダイDIGITAL 2021/9/16(木) 9:06配信

「グルーミング」と言っても毛づくろいのことではない。日本語で「手なづける」という意味のセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)で、日本でも次第に認識されるようになってきた。

 都内在住の無職Sさん(35)は、そんな巧妙なセクハラで20代の学生時代を棒に振り、今春、加害者の教授に対して損害賠償請求訴訟を起こし、係争中だという。

 帰国子女のSさんは都内の大学に進学したが、日本語が苦手だったため、孤立気味のキャンパスライフを送っていた。そんな彼女に転機が訪れる。大学3年で履修した授業の教授に、研究室の引っ越しの手伝いを頼まれたのだ。「えこひいきされ、いい気になっていました」とSさん。

 以後、教授の資料作りのため定期的に研究室に通うように。教授の紹介でアルバイトや企業インターンもして、誕生日祝いにはごちそうもしてもらった。メール交換もするようになった。

 大学卒業後はその教授のススメで、教授を指導教官に大学院に進学。妻帯者である教授と性的関係を持つことに。毎日のようにカフェで会い、週末はラブホテルというパターンになった。

 このように狙った相手の心のドアを少しづつ開けて入り込む手口は「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれる。

 就職先も教授の目が届く団体だったが、転職したことでようやく離れられたという。ここに至るまでに10年以上。その間、友人にも関係を話せず疎遠になり、気づけば話し相手は教授だけという状態になっていた。

 だが教授と離れたあとに「不貞行為」を知った教授の妻から慰謝料を求める訴訟を起こされ、精神的に病んでいたSさんは何も対応できないまま敗訴……。しばらく時間が経って少し回復した彼女は、教授に対して裁判を起こしたが、教授は自由恋愛だったと主張しているそうだ。

「引っ越しを手伝わせた時から目をつけていたのでしょうね。アルバイトやインターンも紹介することで手なづけ、彼女が研究分野から離れないようにコントロールした。周囲と交友関係を断つのも常套手段です」

 そう話すのは特定非営利活動法人SSHP(スクール・セクシュアル・ハラスメント防止)全国ネットワークの亀井明子代表だ。

「大学生ともなればお互い大人だし、自由恋愛だと主張もされますが、今は教員との恋愛を禁止している大学は多い。教授は知識や経験も豊富だし、大学生は就職活動もある。教授の機嫌を損ねたら自分の将来がなくなるため、結果的に性的な関係に持ち込まれてしまう。それがキャンパス・セクハラの怖さです。コロナ禍で相対する授業がなくても、個別指導だと称して学校に来させたり、学外で会うように求められてセクハラに遭ったという相談もあります」(前出の亀井代表)

 大学のセクハラ相談機関も、教員がメンバーに入ってるともみ消す場合があるから要注意だそうだ。SSHPは高校生までが主な対象なので、大学生ならば大学を対象にしたキャンパス・セクシュアル・ハラスメント・全国ネットワークに相談する方法もある。あなたのお子さんは大丈夫?

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