自虐史観刷り込む反日教育 教職員組合、権利ばかり主張…失った信頼

自虐史観刷り込む反日教育 教職員組合、権利ばかり主張…失った信頼
産経新聞 2014年8月6日 8時30分配信

 7月25日、福岡空港から大分県内の中学生とその保護者たちの一団が韓国・ソウルに旅立った。ツアー名は「親子で学ぶ韓国平和の旅」。向かった先は「日本軍『慰安婦』歴史館」。生徒たちはそこで、日本軍が慰安婦を強制連行し、性奴隷にしたとする韓国側の一方的な説明に耳を傾けた。一団は、反日運動家らの監獄として使用された「西大門刑務所跡」も見学した。

 こんな“反日教育ツアー”を企画したのは、大分県教職員組合だ。旅行業法に違反し、新聞広告で参加者を募ったため、観光庁から指導を受けた。

 大分県は全国有数の「日教組王国」。日本教職員組合傘下の県教組に加入する割合(加入率)は、小中学校教員で60%を超える。県教組の主導で、かつては悪魔にたとえた旧日本軍が中国の村民を皆殺しにするというストーリーの「平和学習」教材を小学校で使用、文部科学省が是正するよう求めたこともある。

 「平和」に名を借りた偏向ぶりは、今も変わっていない。

 ■数字のマジック

 戦後の教育現場で、日教組と、日教組から分派した全国教職員組合(全教)は、国が進める学力向上施策を「過度の競争を招く」と批判する一方で、子供たちに自虐史観を刷り込むようなイデオロギー教育を推し進めてきた。

 力の源泉は高い加入率だ。文科省が調査を開始した昭和33年には86・3%にも上った。ある組合教師は「かつては組合が学校や教委を支配して人事権を握っていた。組合費はいわば、教師の生命保険だった」と明かす。

 その後、反国家的な政治活動に保護者らの批判が高まり、加入率は年々減少。60年度に50%を割り込み、昨年度は25・3%にまで落ち込んだ。

 しかし、この数字を、そのまま影響力の低下に結びつけることはできない。昨年9月まで文部科学政務官を務めた義家弘介(ひろゆき)衆院議員(43)は「数字のマジック」と皮肉る。

 義家氏によれば、加入率の調査対象は管理職も含めた全教職員で、小中学校に比べて組合活動が盛んではない高校も含まれている。このため小中学校に限定すると、昨年度は30%を超え、管理職を外すと、さらに上昇するという。

 「政治色の強い日教組を放置するなという世論と、影響力のある日教組とは協力せざるをえないという現実の板挟みで、文科省は加入率を低くみせるマジックを使ってきた。加入率が減ったからといって組合問題は解決していない」と、義家氏は指摘する。

 ■根強い組合文化

 「教師の一番の関心はどこの学校が荒れているかだったが、最近、ようやく学力の話をするようになった」。全国学力テストで長年、下位に低迷していた高知県の公立中学教諭(44)が感慨深げに話す。

 高知県もかつては全教が強かった。夏休み前になると、成績処理のため午前授業になる。法定授業数は守らない。水曜日は「ノー残業デー」…。「組合教師たちは子供の学力より、自分が楽になることばかり主張していた」と振り返る。

 全教の加入率が10%程度となった今は、勤務中に組合活動をする教師は消え、卒業・入学式の国旗掲揚、国歌斉唱も正常化した。

 ただ、別の男性教諭(44)は「職員会議での多数決や公文書の西暦表記など、組合が作った文化が学校の中に残っているのが課題」と指摘する。実際、今年4月には、大阪市立中学校で、本来は校長に権限がある教務主任などの校内人事について、30年以上前から教員の選挙で決めていたことが発覚した。

 この男性教諭は訴える。「何より問題なのは組合教師が権利ばかりを主張してきたことによって、学校が保護者や地域の信頼を失ったこと。これを取り戻すことが最大の課題だ」

 ■組合支配に歯止め 総合教育会議設置へ

 教育委員会制度を見直す改正地方教育行政法が6月に成立したことを受け、全国の自治体に来年度以降、教育行政の大綱を決める首長主宰の「総合教育会議」が設置されることになった。首長の権限が強化され、教育行政に民意が反映されやすくなる。

 総合教育会議は首長と教育委員会で構成され、学校教育に関する重点施策などについて協議する。そこでの議論をふまえ、首長は大綱を定めて公表する。

 戦後の教育行政はこれまで、非常勤の教育委員5人で構成する教育委員会が決定権を持ち、その陰で教職員組合が影響力を行使していたが、教育委員会制度の改革により、組合支配に歯止めがかかりそうだ。

 民間の有識者でつくる「教育再生をすすめる全国連絡協議会」では、組合の健全化とともに、教育行政を外部評価するイギリスの教育水準局を日本でも導入するよう提案している。

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