児童性虐待の対応に「重大な過ちあった」 前ローマ教皇が認める
BBC News 2022/2/9(水) 14:01配信
ドイツのカトリック教会司祭らによる児童性虐待をめぐり、前ローマ教皇ベネディクト16世(94)は8日に公開された書簡で、独南部ミュンヘン司教区の大司教を務めていた際の性的虐待事案への対応に誤りがあったことを認めた。
ローマ教皇庁(ヴァチカン)が公開した書簡の中で、ベネディクト16世は「重大な過ち」への許しを請う一方で、個人的な不正行為は否定した。
カトリック教会から委託を受けたドイツの法律事務所「Westpfahl Spilker Wastl」が実施した調査の報告書は先月20日、ベネディクト16世がミュンヘン司教区の大司教時代に
前ローマ教皇ベネディクト16世(当時は本名のヨゼフ・ラッツィンガーで呼ばれていた)は1977年から1982年まで、ミュンヘン司教区の大司教を務めていた。
報告書によると、虐待行為はベネディクト16世の大司教在任中も続いていたとされ、告発された司祭たちは教会でそれぞれの職務を継続していたという。
ベネディクト16世は報告書に対する個人的回答として、「私はカトリック教会で大きな責任を担ってきた。私の任期中に異なる場所で発生した虐待行為と誤りに対して、より大きな痛みを感じる」と述べていた。
■「最も重大な過ち」
今回の書簡では、性的虐待の被害者に対する行為を「最も重大な過ち」と表現した。
「これらの(虐待被害者との)面会でそうであったように、性的虐待のすべての被害者に今一度、私の深い恥辱と悲しみを表明し、心から許しを請うことしかできない」
そして、「まもなく、私は人生最後の審判を受けることになるだろう」と付け加えた。
先月の調査報告書の発表前、ベネディクト16世は性的虐待事件に関する1980年の会議への出席を否定していた。
ところが、報告書が発表されると、この会議に出席していたと認めた。当時の個人秘書であるゲオルク・ガンスバイン大司教はこの誤りについて、当時公表された声明の編集過程で見落としたもので、悪意から生まれたものではないと説明した。
ベネディクト16世は書簡の中で、この見落としが「私の真実性への疑念を生み、さらには私にうそつきのレッテルを貼る」ために使われたことに深く傷ついたとしている。
2013年、前教皇は体力の衰えを理由に退位した。存命中の教皇の退位は約600年ぶりだった。以降、名誉教皇としてヴァチカン市国で静かな生活を送っている。
(英語記事 Ex-Pope admits errors in handling of abuse cases )