池田町の中学生自殺から5年 学校側の法的責任認め和解【福井】

池田町の中学生自殺から5年 学校側の法的責任認め和解【福井】
福井テレビ 2022/3/25(金) 18:48配信

 池田中学校の男子生徒が自殺してから5年。25日、一つの区切りを迎えた。自殺は
「担任らの叱責が原因」などとして、遺族が、県と池田町に約5500万円の損害賠償を求めた民事裁判で、学校の法的責任が認められる形で和解が成立した。
 生徒の母親は、会見を開き、「息子が命をかけて伝えたかったことが理解してもらえた」と話し、教育委員会には、再発防止策を考えて実行することを求めた。
       
母親会見:
「裁判所には息子の名誉を守ってもらい、この事件の責任の所在を明確にしてもらい、大変意味のある結果になったと実感している。」

 和解の成立後、生徒の母親が約1年9カ月に及んだ裁判を振り返った。

 母親側の弁護士によると、裁判所は今年1月、当時の担任と副担任、校長、教頭に
国家賠償法上の過失などがあったとし、生徒と遺族への慰謝料などあわせて5000万円を支払うよう勧告した。

 これに、池田町と県が合意して、25日に和解が成立した。

母親:
「気が付くと、ぽろぽろと涙がこぼれていた。息子が命をかけて伝えたかったことが理解してもらえたという安堵からのことと思う。」

 担当弁護士は、学校側の組織的な責任を認めた意義は大きいと評価した。

 一方、県と池田町は、当初「教育目的を逸脱しておらず不法行為はない」などして請求の棄却を求めていた。

 池田町の杉本町長は、25日、責任を認め謝罪した。

池田町 杉本博文町長:
「小さな町、小さな学校でありながら、悲しい事件を防ぐことが出来なかったことは痛恨の極み。この場でお詫びしたい。」

 男子中学生が自殺したのは、今から5年前の3月14日。調査委員会の報告書では、
自殺の要因は、担任と副担任からの厳しい叱責と指摘し、生徒に精神的なストレスがかかっていたとして、学校側の責任を認定した。

 裁判での和解を受けて生徒の母親は、意味のある再発防止策とその実行を求めた。

池田町 内藤徳博教育長:
「当時作った再発防止策を学校で実施している。教育大綱を改定して、子どもたちの精神的な教育も取り入れている。今後、そういったことをもっと磨き上げていくことが大事。」

 同じような不幸が二度と起きないよう、生徒の母親は最後にこう語った。

母親:
「当時、県は町に責任を押し付けていたが、そのようなことでよい学校を作ることはできるのでしょうか。県と町が協力し、より良い学校づくりに取り組んでほしいと切に願います。」

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