留学生の転校を認めない日本語学校の実態…許可なしには外出さえできず【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】

留学生の転校を認めない日本語学校の実態…許可なしには外出さえできず【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】
日刊ゲンダイDIGITAL 2022/4/19(火) 9:06配信

【水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇】#11

 ベトナム人留学生のホアン君(21)は2020年12月、福岡市内の日本語学校に入学するため来日した。4月に入学するはずだったが、新型コロナの影響で入国が遅れたのだ。

 待ちに待った日本の地。しかし、彼は当初から学校に不満を抱いた。

「いちいち届けを出さないと寮から外出もさせてもらえない。学校を休むと掃除の罰が待っている。しかも周囲の留学生たちは出稼ぎ目的で来日しているから、バイトばかりして勉強もしないんです」

 ホアン君は入学した日本語学校のことやベトナム出身者を中心に急増している偽装留学生の実態について、何も知らずに来日していたのである。

■当たり前の権利すら与えられない留学生

 彼は他校への転校を希望したが、それには在籍する学校の許可が必要だった。日本語学校の留学生は自由に学校を変えられない。そして彼の学校は、転校を認めてくれなかったのだという。

 私たちが海外に語学留学するケースを考えてほしい。入学した学校と相性が悪ければ、別の受け入れ先となる学校さえ見つかれば転校は認められて当然だ。

 むろん納めた入学金などは返還されないかもしれないが、日本の制度では、そんな当たり前の権利すら留学生にはないのだ。

 技能実習生については、大手メディアも「転職の自由がないのはかわいそうだ」と頻繁に指摘する。だが最近は、国の監督機関である「外国人技能実習機構」の存在もあって、悪質な企業に配属された実習生は職場を変わることができるようになった。一方、留学生の場合は、問題のある学校に入学しても耐えるしかないのである。

「実習生をいじめるブラック企業はあっても、それほど悪質な学校はないのでは?」と思われる読者もいるかもしれない。しかし実際には、留学生の受け入れ現場には「教育機関」とは到底呼べない「ブラック学校」が数多い。

 転校の希望がかなわなかったホアン君は勉強への関心をなくし、授業もサボりがちになっていく。留学生の欠席は日本語学校にとって要注意サインだ。学校は留学生が失踪し、不法残留となることを最も恐れる。入管当局からにらまれ、新入生を受け入れる際のビザ交付に影響が出かねないからだ。

 ホアン君によれば、学校は彼に対し、ベトナム帰国便のチケットを予約するよう促してきたのだという。もともと彼は「ベトナムに帰国したい」と学校に告げていた。転校がかなわないためについたウソだったが、それを逆手に取られてしまった格好だ。

「でも、僕は日本にいたかった。だから今度は『在留資格を変更した』とウソをついてしまったんです」

 入管当局は新型コロナで帰国困難となった外国人に「特定活動」という資格を発給し、6カ月単位で在留を認めていた。そこで彼は在留資格を「留学」から「特定活動」に切り替えた、と言ったのである。

 この発言が原因で、ホアン君は鎖で拘束されることになってしまう。 (つづく)

(出井康博/ジャーナリスト)

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