【手記全文】「教師が嘘ばかりついていいのか」腕に大やけどした生徒の怒り 名古屋市を提訴

【手記全文】「教師が嘘ばかりついていいのか」腕に大やけどした生徒の怒り 名古屋市を提訴
中京テレビNEWS 2022/4/26(火) 15:37配信

「嘘ばかりなので本当のことを言ってほしい」

16歳の男子高校生が書いた手記には、事故から3年近くがたってもなお癒えることのない、教師に対する不信感や怒りがつづられていた。

事故が起きたのは、2019年7月。名古屋市立守山東中学校で、当時中学2年の男子生徒が、火のついた棒を振り回す「トーチトワリング」の練習中、右腕に大やけどをした。

練習は、学校行事の野外学習で披露するためのもの。事故の瞬間を捉えた動画が残っているのだが、棒の先端の炎はこぶしの大きさか、それ以上にも見えるほど大きくなっていて、十分な安全管理が求められるのは一目瞭然だ。

練習が始まって生徒たちが棒を振り回し始めた直後、男子生徒が異変を訴えた。炎が服に燃え移っていた。

事故後、学校のずさんな対応が次々と明るみに出た。学校は、生徒の親に対し、「これほどのことが起きると想定していなかった」と説明。消火に手間取っていたことも判明した。

さらに、担任が生徒に対し、「バチがあたっちゃったかもしれんね」などと発言していたことも明らかになった。生徒は、事故原因を押しつけられ、心に深い傷を負った。

事故を受け、警察は、練習を指導していた男性教師が、灯油を染みこませた布をしっかりと絞るなどの安全対策を怠ったとして、この教師を業務上過失致傷の容疑で。教師は、先月、名古屋簡易裁判所からを受けた。

刑事事件としての判断は示されたものの、大やけどをした生徒や両親は、これまで学校や名古屋市から真実が語られていないと訴えている。生徒の父親は私たちの取材に、「名古屋市や学校側はいまだに認めていない部分がたくさんある。息子は悪くなかったんだと証明したい」と話している。

大やけどをした男子生徒は、今、名古屋を離れ、東北地方の通信制高校に通っているが、いまだ事故のフラッシュバックに悩まされているという。

事故の原因は自分にあるのではないことを十分説明してほしい−
生徒や両親は26日、名古屋市などを相手取り損害賠償を求める訴訟を起こした。

提訴に際し、生徒が今の心境を手記にまとめた。

■トーチトワリングの練習中、右腕に大やけどをした生徒の手記

「嘘ばかりなので本当のことを言ってほしいです。
 3年前の出来事ですが、今でも鮮明に蘇ります。
 当時は、本当に辛かったです。消えてなくなりたいとも思いました。
 大人はとても理不尽で嘘つきだと思います。
 教師とは常に生徒に教える立場の人間だと思います。
 そんな教師が嘘ばかりついていいのでしょうか?
 思い出すだけで怒りと辛い気持ちがこみ上げてきます。

 本当のことを話してほしいです。
 ですが自分は今後も先生たちを恨むと思います。
 この辛い気持ちは僕にしか分からないと思います。
 僕がどんな辛い気持ちで3年間過ごしてきたのか。
 僕みたいな人が一人でも増えないようにまず自分の犯した過ちを見直してほしいです。」

生徒の右腕に残る約20センチのやけどの痕。そして、心の傷。今回の裁判を通じて、名古屋市から十分な説明はあるのだろうか。

提訴を受け、名古屋市教育委員会の担当者は「事故が起きたことについては申し訳なく思っています。訴訟については訴状の内容を確認して対応してまいります」とコメントしている。

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