旭川いじめ再調査 市長の姿勢 与野党が問題視

旭川いじめ再調査 市長の姿勢 与野党が問題視
北海道新聞 2022/10/9(日) 9:54配信

関連議案即日採決に「審議短すぎる」

 北海道・旭川市内の公園で昨年凍死した中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=へのいじめ問題を再調査する関連議案を全会一致で可決した7日の旭川市議会は、定例会最終日に公明党を除く全会派が質問に立つ異例の展開となった。与党の自民党も今津寛介市長が採決を急ぐ姿勢を問題視し、調査状況の議会への報告など求める付帯決議を全会一致で可決。再調査に当たる市長直属の第三者委員会は11月に設置されるが、真相解明のハードルは一層高まった。

 「スピード感も必要だが、慎重さも重要」「今津市長はトップダウンで行政を混乱させている」。本会議では与野党から慎重な審議を求める声、今津市長の拙速さを批判する声が続出。午前10時に始まったが、閉会は午後7時前となった。

 今津市長は9月15、16日の両日、再調査方針を発表する記者会見を打診したが議会側の抵抗を受け、実際に方針を表明したのは20日の本会議。市側はその時点での関連議案の提出も可能だったが、一部議員が「再調査ありきなのか」と水面下で反発し、提出を見送ってきた経緯があった。

 この日も複数議員が「審議期間が短すぎる」などと指摘した。自民党・市民会議の安田佳正氏は「閉会日が迫って提案し、早急に議決を求めるのは議会軽視ではないか」、民主・市民連合の松田宏氏は「市の総合教育会議が開かれていない。決定までの手続きが踏まれていないのでは」と非難。今津市長は「短期間での議案提出となり、おわびする」と陳謝した。

全会一致で付帯決議
 共産党は動議で、いじめ問題の再調査を行う関連議案を審議する特別委員会設置を求め、小松晃氏は「極めてタイトな議会日程で最終日しか質問できず、即刻判断を求められたことは非常に残念」と述べた。動議は賛成少数で否決されたが、全会派連名で最終報告書検証や行政内部の意思決定手続き、再調査を担う市長直属の第三者委の「公平・公正・中立」な人選などを求める付帯決議を出した。

 今後決まる委員は学識経験者や弁護士、精神科医らで構成。市教委の第三者委がいじめと自殺の因果関係を「不明」としたことに遺族側は「判断を回避している」などと不満を持っており、この点をどう解明するが最大の焦点となる。

 市幹部は、市議会の付帯決議に市長直属の第三者委の「中立」が盛り込まれたことで、被害者に寄り添った再調査を問題視されかねないとみており、「いじめと自殺の因果関係を解明するのはさらに難しくなった」と本音を打ち明ける。

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いいのか、それで?

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