「確実な収入源」禁じられても過剰接待、教科書会社の思惑は
産経新聞 2022/11/2(水) 20:28配信
子供たちの学びに欠かせない教科書採択の手続きが汚職の舞台になった。大阪府藤井寺市立中学校の令和3年度の教科書採択を巡り、教科書会社に便宜を図った見返りに賄賂を受け取ったとして、大阪府警捜査2課などは2日、加重収賄容疑で、藤井寺市立中学校の西留俊春元校長(61)=同府松原市=を書類送検。贈賄容疑で教科書会社「大日本図書」(東京都文京区)の元取締役(65)と、同社社員(35)も書類送検した。
原則4年ごとに行われる選定で採択されれば、教科書会社にとっては確実な収入源となるだけに、アピールや営業は過熱しがちだ。
事情に詳しい教科書業界の関係者は「4年間『手堅い利益』が入るのと入らないのではまったくちがう」と説明。「教科書会社による選定側への接待は、老舗を中心に慣習化されてきた面がある」とも明かす。
教科書会社と教育現場の関係性は、これまでもたびたび問題視されてきた。
平成27年、これをきっかけに同様の問題が全国で相次いで発覚し、翌年7月には、公正取引委員会が教科書採択の公正性を妨げる独占禁止法違反(不当な顧客誘引)に当たる恐れがあるとして、9社に警告を出した。
業界団体の教科書協会は28年、各社の営業活動に関する自主ルール「教科書発行者行動規範」を策定。教育関係者らに対する金銭や物品の提供、飲食接待を禁じた。
今回、贈賄側となった大日本図書も公取委の警告を受けた9社に含まれる。28年には学校関係者との関わり方などについて再発防止策を公表した。ただ、今年7月にも幹部社員らが茨城県五霞(ごか)町の教育長と料亭で会食、会社側が代金を全額負担していたことが明らかになっている。
業界関係者は「ルールが明確になった今でも、古くからの人間関係を生かす営業スタイルが続いており、根絶するのは難しいのでは」と話した。