京都市立高校のPTA会費流用が広げる波紋 公立高校で在り方見直す動き

京都市立高校のPTA会費流用が広げる波紋 公立高校で在り方見直す動き
京都新聞 2022/11/1(火) 10:21配信

 京都府内の公立高のPTAで、会費や会計の在り方を見直す動きが出ている。7月には京都市立京都堀川音楽高(中京区)で前事務長がPTA会費約2600万円を私的流用していた問題が発覚し、「PTAと金」を巡る課題が浮き彫りになった。PTAがどのように会費を管理し、何に支出するのが適切か。学校や保護者は時代に合った形を模索している。

 京都市北区の紫野高は、2018年度にPTAからエアコン12台の寄付を受けた。経費は約950万円。「教育活動に特別の事情が生じた時、生徒に還元される」としてPTAが会員から年2千円集めている特別積立金から支払われた。

 PTAでは他に一般会費を年2500円、入会費を4千円徴収している。砂田浩彰校長は「学校としては寄付はありがたい。ただ繰越金が増えると管理も大変なので入会費や特別積立金の在り方を検討しては、と今の役員に提案した」と明かす。

 京都堀川音楽高の私的流用問題では、PTAが1台2千万円もする高級ピアノを学校に寄付するため、会員1人につき年1万円を集め、特別会計に積み立てていた。事務長が流用した金の大半は、この特別会計から引き出されていた。

 「いつか学校に寄付をするため」と特別会計を設け、1年任期の役員が前例踏襲で引き継ぎ、一部の学校職員が通帳を管理する。残高が巨額となり、管理や購入品の選定が不透明になる―。そんなPTAの構造的な課題が浮かび上がる。

 日吉ケ丘高(東山区)PTAは昨年度、特別会計の廃止を決めた。以前は周年行事などに対応するため年1500円を集めていたが、会員の負担軽減を目的に廃止した。千賀修会長は「特別会計は何にでも使える。不透明な支出につながらないよう必要であれば一般会計で対応することにした」と語る。

 会計管理の在り方も課題だ。日吉ケ丘高PTAでは京都堀川音楽高の問題を受け、学校長、副校長、事務長の3人で支出を確認するよう厳格化した。別の市立高PTAは昨年度から通帳を学校職員でなく保護者で管理するようにしたが「自宅に保管するのは怖い」との声も出ているという。

 PTAが学校のためにどこまで金を出すかの線引きも難しい。「子どものためなら」と支出や寄付を容認する保護者は多い。一方で、本来公費で整備すべきものや必要以上のものにまでPTAが支出するため会員の負担の重さや不正につながるとの意見もある。ある市立高校長は「PTA会費は市の予算ですぐに対応できない時に使え、頼ってしまっている」と明かす。

 紫野高PTAは本年度から学校のトイレ清掃や製氷機の点検に支出するのをやめた。見直しを進めた20、21年度の会長の飯田広さんは「学校にお任せで実態がよく分かっていなかったが、一部は公費で賄うべきだと考えた」と話す。

 同志社大の真山達志教授(行政学)は「寄付は自由意志で、趣旨に賛同する人でするものだが、学校から当てにされ、寄付を強制される構図が生まれている。備品の整備は本来、学校の設置主体の責任で行うべきだ。PTAをいったんリセットしたり、寄付のガイドラインを設けたりするなど抜本的な見直しが必要」と指摘した。

シェアする

フォローする