「どうせできないんだから」 教師の人格否定発言、生徒が不登校に
毎日新聞 2022/12/29(木) 16:00配信
千葉県柏市の市立中学校で、特別支援学級の女性担任教師が日常的に大声で威圧的に指導し、2021年以降、2人の生徒が学校に通えなくなった。学校は、教師の指導に問題があったと認め、22年度からは、不登校となった生徒の学級の担任から外すなどして対処した。
不登校となった女子生徒とその母親によると、教師は「座ってろ!」など大声で生徒たちを指導していた。女子生徒は直接、厳しく指導されたわけではないが、同じクラスでうろつき回る他の生徒が叱られる姿を見続け、ショックを受けて不登校になった。
重度知的障害のある男子生徒の母親によると、教師は他の生徒に「どうせできないんだから、他の学校に行けば」と人格を否定するような発言をし、「廊下に出ていろ」などと怒鳴ることもあった。
威圧的な指導は20年以降、次第にエスカレートしていったという。男子生徒は教師に恐怖を感じていたが、日ごろ叱られていた生徒と教師が取っ組み合いになった様子を見て、恐怖が限界に達し、不登校になった。
22年4月以降、学校は教師の担任を別の特別支援学級に変更した。生徒2人は登校を再開したが、隣り合わせの教室だったため、教師の大声が生徒2人の教室まで聞こえ、再び通えなくなった。
2学期からは、学校が教室の配置換えをし、教師が担任を務める教室と、2人の生徒の教室の間に複数の教室を挟んだ。教師の声が聞こえなくなり、男子生徒は通えるようになったが、女子生徒は投薬などの治療を続け、ほとんど登校していないという。
校長によると、教師は学校側の聞き取り調査に対し「言うことを聞かない生徒に、だめなものはだめだという時は厳しくした。廊下に出したりしたことはあった」と、厳しい指導を認めたという。
学校は柏市教育委員会にも報告した。市教委は「大声や、威圧的な言葉遣いによる指導を改めるよう、22年3月に一度指導した」という。校長も教師に直接注意・指導し、定期的に授業を見ている。「今は暴言などはない」としている。
校長は「特別支援学級にはいろいろな子がおり、うまくコミュニケーションが取れなかったり、暴れてしまったりする子もいる。強い指導が必要になることもある」と語った。
不登校となった男子生徒の母親は「特別支援学級には、自分の言葉で何があったのかうまく伝えられない子もいる。(教室の中の出来事が保護者らに分かりにくく)閉鎖的な場所になりがちだ」と話している。【野口麗子】