チンパンジー研究の第一人者、松沢哲郎・霊長研元所長に2億円の賠償提訴…京都大
読売新聞オンライン 2023/1/14(土) 17:44配信
京都大霊長類研究所(解体)での研究資金の不正支出問題を巡り、京大がチンパンジー研究の第一人者・松沢哲郎元所長(72)(懲戒解雇)らを相手取り、2億円の損害賠償などを求めて京都地裁に提訴していたことがわかった。提訴は昨年10月28日付。
訴状によると、2010〜12年度、松沢氏を代表とする研究が、国の選定で日本学術振興会の補助金交付の対象となった。しかし、チンパンジーを飼育する研究用ケージの一般競争入札で、仕様策定に直接関与した業者が、その後の入札に参加したのは入札妨害にあたるとして、同振興会は、補助金交付決定の一部取り消しと返還命令を出した。入札は別の業者が落札した。
京大側は、松沢氏が部下の元教授(懲戒解雇)に仕様策定作業の多くを担当させ、資格のない業者が入札に参加することを黙認したなどと主張。京大が返還した計約3億6100万円(加算金を含む)のうち、2億円の支払いなどを求めている。
松沢氏の代理人弁護士は取材に「事業責任者である京大の違反にもかかわらず個人に責任を押しつけた不当訴訟」と反論。24日に予定される第1回口頭弁論で請求棄却を求める方針だ。
霊長研に対しては、会計検査院が20年、約11億2000万円の不適切な支出があったと公表した。松沢氏は21年、京大に対し、地位確認を求める訴訟を地裁に起こし、係争中。