さいたま中1自殺 黒塗り報告書に遺族反発「納得できない点ある」
毎日新聞 2023/1/16(月) 19:00配信
2018年にさいたま市の市立南浦和中学1年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教育委員会の第三者委員会がまとめた報告書に対し、遺族側が「事実認定に納得できない点がある」とした所見を市教委に提出した。遺族側への取材で判明した。報告書について、市教委は個人名などを「黒塗り」して公表する準備を進めているが、遺族側は「黒塗り」をできる限り減らし、第三者委座長が記者会見で説明するよう求めている。
遺族側によると、男子生徒は18年8月26日、「部活に行く」と言って自宅を出た後、自殺した。遺族側は自殺直後、校長から「(自殺を公表すると)マスコミが来る」などと説明され、「不慮の事故」とすることに同意。詳細な調査の開始が遅れることになった。
遺族側は校長の対応などに不審を抱き、19年4月に市教委に第三者委の設置を要望した。市教委は自殺から約1年後の同年7月に第三者委を設置し、調査が始まった。第三者委は22年7月までに計74回、非公開で会合を開き、報告書をまとめた。
細田真由美教育長は同11月の記者会見で「第三者調査に長い時間がかかり、遺族に大変つらい思いをさせてしまって申し訳なく思っている」と陳謝。同7月に遺族側に報告書を渡し、同9月に遺族側の所見が届いたことを明らかにした。
学校側が実施したアンケート調査では、男子生徒が所属したバドミントン部の顧問教諭(当時)が普段から部員に暴言を吐いていたとの証言や、男子生徒に「圧をかけているように感じた」との声が寄せられた。だが、報告書では、「圧をかけている〜」と答えた生徒が、第三者委の調査に「(当該の)男子生徒だけではなかった気がする」と答えたことなどを挙げ、「不適切な指導だったとは言えない」と結論づけた。
また、自殺前日に顧問教諭から電話で「明日、個別に呼んで指導する」と伝えられたという母親の証言について、報告書は「証拠を総合的に考慮しても、教諭がその旨の発言をしたと判断することはできない」とした。
遺族側は、顧問教諭の指導が自殺の原因だと主張。教諭と母親の電話や男子生徒への指導の内容について「報告書が明確な理由なく、教諭の言い分を採用したのは納得できない」と反発している。
【岡礼子】
さいたま市立南浦和中1年の男子生徒=当時(13)=が2018年に自殺した問題で、第三者調査委員会の設置を要望するか検討していた遺族に対し、益子慶次校長が「写真をずるい週刊誌がネットに上げる」「(男子生徒の)妹にも調査が入る」と、要望しないよう促すような発言をしていたことが27日、関係者への取材で分かった。
調査の影響で、同校に入学予定の妹に対する配慮がおろそかになるとの発言もあり、遺族はいったん要望を見送った。その後、支援者の後押しで改めて設置を求め、現在、調査が続いている。
益子校長は「調査には責任を持って協力する」と話した。
過去の顧問暴言、説明せず 中1自殺、学校側が遺族に
共同通信 2020/3/28(土) 6:29配信
さいたま市立南浦和中1年の男子生徒=当時(13)=が2018年に自殺した問題で、バドミントン部の男性顧問の指導が原因と訴える遺族に対し、学校側が過去に別の部員への暴言や体罰があったことを把握しながら、詳しく説明しなかったことが28日、関係者への取材で分かった。
益子慶次校長や顧問が遺族宅を訪れた際の録音データによると、「大声で指導した」などの説明にとどめていた。生徒の母親は取材に「都合の悪い情報を隠し、全く信用できない」と話した。
益子校長は取材に「第三者委員会の調査中で回答は差し控える」とした。
学校は当初、「気持ちが動転している家族の意向」を理由に自殺を不慮の事故として扱い、他の生徒にも説明。同年9月4日、自殺の原因は把握できなかったと遺族に報告した。
母親は当初、死因を不慮の事故とすることに了承した理由について、「自殺とすると保護者会で遺族が説明しなければならない」「マスコミがたくさん押し寄せて告別式がめちゃくちゃにされてしまう」などと説明されたためと主張。一方、市教委は「家族に寄り添って丁寧に確認したと認識している」と、やりとりを否定した。
市教委によると、生徒からは、顧問による「バカだ、アホ」「お前存在する意味あるのかよ」といった暴言の訴えがあったほか、自殺前の通常の全校アンケートでも顧問が胸ぐらをつかむ行為をしていたとの回答があった。顧問は「口調が強かったり言い方がきつかったりした」と弁明。校長が口頭指導し、顧問を継続した。今春、市内のほかの中学に異動したという。市教委は「現段階では原因ははっきりしない。第三者委で顧問との関係も詳細に調べる」と話している。