保育士らが大量退職の意向 熊本・阿蘇市の認定こども園 役員改選などに強い不信感

保育士らが大量退職の意向 熊本・阿蘇市の認定こども園 役員改選などに強い不信感
熊本日日新聞 2023/2/8(水) 21:05配信

 熊本県阿蘇市内の私立の認定こども園で、保育士ら職員全14人のうち12人が、既に退職したり、本年度末までの退職意向を示したりしていることが8日、分かった。園を運営する学校法人(同市)の役員改選などを巡り、職員らが強い不信感を抱いたことが原因。法人は不足する職員を確保すると説明している。市は転園を希望する保護者の支援に乗りだした。

 県子ども未来課は「もしこれだけの退職者が出るなら、県内では聞いたことがない規模」としている。

 同園によると、園には0〜6歳の37人が通う。事務長が1月末で退職し、園長や幼稚園教諭、保育士、栄養士ら11人が退職の意向を示している。

 学校法人の理事や評議員らによると、1月20日に緊急理事・評議員会があり、役員改選と外部から招いた新理事長の就任を決めた。しかし職員らは、改選が法人の規約に沿っていないとして手続きを疑問視。「急に理事長の交代を告げられ、園の備品や重要書類を持ち出された」と訴えている。前理事長は「新理事長選任は適正だった」と主張している。

 職員らは1月末に保護者への説明会を開き、「保護者と子どもたちには大変申し訳ない。年度末までは子どもたちが安心して通えるよう頑張る」と話した。一方、新旧の理事長らは2月7日、保護者に経緯を説明。終了後、新理事長は「今いる先生方に一人でも多く残ってもらうのが一番。不足する分は私の人脈を使い、現在の園児数を預かれるだけの職員を確保できる」と話した。

 県子ども未来課によると、認定こども園は県条例で保育士ら1人当たりの園児数や、0〜2歳児への自園で調理した食事の提供義務などが定められている。「役員交代の妥当性や、今後、条例の基準に沿った運営が可能なのかなどを調べたい」としている。

 市福祉課は、通常約2カ月かかる手続きを迅速化し、転園を希望する保護者らに市内の別の園を紹介する。

 保護者の一人は「子どもたちは転園すれば、信頼していた先生や友達と離れ離れになり、一から人間関係をつくらないといけない。備品の購入費などの出費も増える」と困惑している。(植山茂)

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