千葉市の私立高、暴言の野球部監督を謹慎処分 部員が体調不良に
毎日新聞 2023/2/21(火) 20:38配信
私立明聖高校(千葉市中央区)の硬式野球部の監督を務める50代の男性教員が、部員らに暴言を繰り返していたことが同校などへの取材で判明した。部員2人が体調を崩し、適応障害やパニック障害と診断された。同校は監督を3カ月間の謹慎処分とした。
同校や部員の保護者によると、監督は昨年4月に就任したばかり。夏の千葉県大会が終わった頃から、試合で部員がミスをすると、「ばか野郎」「何なんだよ」などと叱責し、指導を放棄したこともあった。また、試合に出ていない部員に「誰だっけ」「補欠の補欠」などと発言した。
こうした言動に悩んだ部員のうち、2人の2年生が10〜11月ごろに体調不良を訴え、それぞれパニック障害や適応障害と診断された。このうち1人は、今でも監督と対面すると発作が起きるという。
同校は2人の部員と保護者に謝罪するとともに、監督を11月から3カ月間の謹慎処分とし、県高野連にも報告した。今月1日に復帰する予定だったが、学校側は部員らに配慮し、当面は見合わせることにしている。
同校の吉沢信二教頭は「監督の思いと生徒の受け取りに差があり、不適切な指導だった。体調を崩してしまった生徒を第一に考え、野球のできる環境を整えたい」としている。
◇唇の震えが止まらず、過呼吸に
パニック障害と診断された2年生の男子生徒は今も、監督の声を聞いたり姿を見たりすると手足が震えるという。毎日新聞の取材に応じた母親は「心の傷は治らない」とし、せめて生徒が引退する夏までは監督を現場に復帰させないよう学校側に求めている。
生徒は3歳の時に兄と一緒に野球を始め、中学卒業後は兄の背中を追って明聖高校に入学した。しかし、監督が何度も交代するなど、野球部の体制はめまぐるしく変わった。
昨年4月に今の監督が就任すると、母親は「今度こそ子どもたちが落ち着いて野球に専念できる」と期待した。だが、昨夏の県大会が終わって3年生が引退すると、監督の態度が荒くなり、違和感を覚えるようになった。
生徒の体調にも異変が表れた。監督と対面すると唇の震えが止まらなくなり、過呼吸になることもあった。10月に病院を受診し、パニック障害と診断された。
11月に監督が謹慎処分となった後、生徒は通常通り練習ができている。だが、校内で監督と顔を合わせると、再び発作に襲われた。現在は同級生が、鉢合わせしないように見守ってくれている。
学校側は監督を新年度までに復帰させたい意向だと聞いている。母親は「それではうちの子は部活を続けられない」とし、「仲間とともに最後の夏までやり切らせてあげたい」と訴えた。【林帆南】