「女性だから最初から男性に負けている」教授が停職6カ月の県立短大 ハラスメント防止の研修3年開かず、懲戒の指針もなく

「女性だから最初から男性に負けている」教授が停職6カ月の県立短大 ハラスメント防止の研修3年開かず、懲戒の指針もなく
南日本新聞 2023/10/4(水) 11:46配信

 鹿児島県立短期大学(鹿児島市)の教授が、学生にパワハラやセクハラをしたとして懲戒処分を受けたことが明らかになった。組織のハラスメント(嫌がらせ)防止に対する意識が希薄で、設置者である県のチェックも甘かった。県短は、研修会の開催や行動指針の作成といった再発防止策の徹底を急ぐ。

 「組織としてすべきことができていなかった。きちんと取り組んでいれば防げたのではないか」。教授の懲戒処分を発表した9月25日の会見で、県短の飯干明学長は反省を口にした。

 県短は2010年、ハラスメント予防や紛争解決のためにガイドラインを定め、教授会で選出された男女2人ずつの委員で構成する人権委員会を設置。年度始めに教職員や学生へパンフレットを配布するなど注意喚起してきた。

■県「確認不十分」

 ところが会見では、19年度を最後にハラスメント防止に関する研修会を開催していなかったことが判明。県も把握していなかった。県短は「軽視していたわけではないが、それ以上に直面する問題の研修を行っていた」と説明する。

 さらに県短には服務規律の確保にもつながる懲戒処分の指針がなく、今回は県教育委員会の指針を参考に対応した経緯がある。

 県の山本周総務部長は「設置者として学内での取り組みの確認が不十分だった」と言及。懲戒処分の指針については「非違行為を教職員に明確に示すことになる。独自の指針を作るよう要請した」と説明する。

 県短とは対照的に、他県の公立大学はハラスメント対策に力を入れている。熊本県立大は遅くとも10年以降、実態把握のため学生や教職員にアンケートを実施し、毎年の結果を教職員や相談員向けの研修に反映するなどしている。

 福井県立大は独自の人権ポリシーを公表し、「いかなる人権侵害行為も許さず、教育研究、学業や業務に専念できる環境の確保に取り組む」と宣言。ハラスメント相談員の紹介文や相談件数、具体例などをホームページで公開している。

■年度内に対応

 ハラスメント対策に詳しい横山美栄子・広島大名誉教授は「被害者にとっては相談窓口に行くこと自体ハードルが高い」と指摘。「教職員だけでなく、学生向けの研修も早めの相談を促す手だての一つ」と語る。

 今回の不祥事を受け、県短は9月28日、教職員が対象のハラスメント防止の研修会を開いた。学内の活動であることなどを理由に非公開だったが、社会保険労務士を講師に招き、教職員69人中55人が参加した。

 県短は再発防止策として、教育や研究指導の際の行動指針を新たに作成するほか、臨床心理士のカウンセリングを増やしたり、外部と提携したりして相談体制を充実させる方針。飯干学長は「本年度をめどにそれぞれの防止策に取り組む」としている。

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