横浜中2自殺、重大事態の認知遅れる 市教委、いじめ防止法違反の認識示す

横浜中2自殺、重大事態の認知遅れる 市教委、いじめ防止法違反の認識示す
産経新聞 2024/3/19(火) 20:41配信

令和2年3月に横浜市立中学2年だった女子生徒がいじめを受け自殺した問題で、市教育委員会が、女子生徒が亡くなった約7カ月後までいじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認知せず、対応が遅れていたことが分かった。同法はいじめで子供の心身に重大な被害が生じた場合などに重大事態として調査することを定めており、市教委は同法違反の認識を示した。平成26年度以降、同市で自殺した児童・生徒のうち、詳細な調査をしなかった38件について状況を確認する方針。

同法はいじめによって子供の心身や財産に重大な被害が生じたり、不登校となっている疑いがある場合は重大事態としての調査を行うことを定めている。また、文部科学省は生徒や保護者からいじめで重大な被害が生じたという申し立てがあれば、学校側の認識にかかわらず、重大事態が発生したものとして調査する方針を示している。

女子生徒は令和元年10月、体育の授業で失敗したときに周囲の冷ややかな態度を感じることなどを担任に相談。その後、不登校となったが、学校側はこの段階で重大事態と認知しなかった。自殺後の2年4月には遺族からいじめによる自殺だったとの訴えがあったが、市教委が重大事態と認知したのは同10月、遺族代理人から遺書の内容を知らされてからだったという。

今月18日の市議会常任委員会で委員が女子生徒の不登校を受けて重大事態と認知しなかった当時の学校の対応について「(いじめ防止対策推進)法に違反しているのでは」とただすと、市教委幹部は「その通りだと思っています」と答弁した。

鯉渕信也教育長は産経新聞の取材に「(保護者らの訴えに加え)何らかのそう考える合理性があるということであれば(重大事態としての)調査に入るという取り扱いをしていた」と話し、調査について認識が妥当でなかったことを認めた。

女子生徒の自殺に関する第三者委員会の報告書では「遺族の事実に向き合いたいなどの希望に応える」ために実施されるはずの学校の基本調査が「学校が当該生徒をしっかり見守っていたことが遺族に伝わること」を目的に行われていたことを指摘している。

18日の市議会常任委員会で委員が「基本調査の総点検をするべき。間違った方針で他だってやっているかもしれない」と言及。鯉渕教育長は基本調査後に詳細な調査が行われなかった38件について「点検いたします」と答え、問題がなかったか確認する意向を示した。

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