「たった1人の女の子に寄り添ってほしいという親の声が なぜ届かないのか」 中1の女子生徒自殺 名古屋市のいじめ訴訟 両親の請求を棄却

「たった1人の女の子に寄り添ってほしいという親の声が なぜ届かないのか」 中1の女子生徒自殺 名古屋市のいじめ訴訟 両親の請求を棄却
CBCテレビ 2024/3/19(火) 17:44配信

6年前、名古屋市名東区で当時中学1年の女子生徒が自殺したのは、学校側がいじめに適切な対処を行わなかったからなどとして、両親が市に損害賠償を求めている裁判。

名古屋地裁は19日、両親の請求を棄却する判決を言い渡しました。

(2017年3月・小学校の卒業式)
「齋藤華子、私の将来の夢は美容師になることです」

小学校の卒業式で将来の夢を語った少女。

しかし、そのわずか10か月後、自ら命を絶ちました。当時・中学1年だった齋藤華子さん13歳。自殺した背景には、学校での「いじめ」がありました。

当初、名古屋市教育委員会は「いじめはなかった」と結論づけましたが、その後、外部の有識者による再調査でいじめが認定されました。

両親は、心のテストの結果などから、いじめによる精神的苦痛に気づくことができたのに、学校側が適切な対処を怠ったなどとして、おととし7月、名古屋市に対し、1540万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。

これに対し市側は、いじめがあったとする再調査委員会の報告書は認めたものの、「心のテストの結果などからいじめを発見することはできなかった」などとして学校や教育委員会の対応に違法性はなく、訴えを退けるよう求めています。

■名古屋市側は “和解には応じない” と回答

これまでの裁判では、父親の信太郎さんも法廷に立ち「いじめがあったこと、加害者がいたことも分かったのに、なぜ起きたかを知ることができず、親としてこれで納得できるでしょうか」と意見を述べていました。

去年12月、名古屋地裁は条項を示し和解を勧告しましたが、その後の和解協議で市側は和解には応じないと回答しました。

(父・信太郎さん 2月の和解協議後の会見)
「何がだめでこれ(和解案)がのめないのか、じゃあ何なら良いのか。話をいくら聞いても理解できなかった」

和解は成立せず、裁判の行方は判決に委ねられることになりました。判決を前に、父・信太郎さんは。

(信太郎さん 3月9日)
「娘に寄り添ってくれることを一番願っている。当時13歳という年齢で自ら命を絶っている。あの子の苦しみ、悲しみ、怒りをちゃんとくみ取って応えてほしい」

華子さんは生きていれば、ことし20歳に。自宅に飾られた千羽鶴には振袖をイメージした柄の折り紙も使われています。

(信太郎さん)
「亡くなる前日に娘とテレビを見ながら『成人式、どんな着物がいい?』って。『あれがいい』『これがいい』と話していたので、着物を着せてあげたかった。(成人式を)迎えたお子さんを見られる親御さんがうらやましい」

■遺族「親の声がなぜ届かないのか」「怒りしかない」

名古屋市に望むことは。

(信太郎さん)
「問題をちゃんと明らかにして、ちゃんとした再発防止を行ってもらう。親としては二度と同じことが起こってほしくない。ただ、今の現状を私たちが見る限りは、また必ず起こる状況にある」

そして、19日。

名古屋地裁の齋藤毅裁判長は「教員が当時、いじめを具体的に認識することができたとはいえず、安全配慮義務に違反したとはいえない」などとして、両親の請求を棄却する判決を言い渡しました。

(信太郎さん)
「たった1人の女の子、小さな子どもに寄り添って欲しいと言っている親の声が、なぜ届かないのか怒りしかないです」

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