暴言など教職員「不適切な指導」 67教委の3割で処分基準に明記なし

暴言など教職員「不適切な指導」 67教委の3割で処分基準に明記なし
毎日新聞 2024/4/19(金) 5:30配信

 教職員による児童・生徒への暴言など不適切な言動や指導を、懲戒処分の対象として処分基準に明記していない教育委員会は、都道府県・政令市の67教委のうち19教委で、約3割に上ることが毎日新聞の調査で分かった。全67教委で基準に盛り込まれている体罰やわいせつ行為に比べ、対応が遅れている。また、不適切な指導などで2020〜22年に懲戒処分を受けたのは30教委で111件、うち免職は5件だった。

 調査は2月下旬〜3月、公立の小中高校を管轄している47都道府県と20政令市の教委を対象に実施し、全教委から回答を得た。

 最新の懲戒処分基準を分析した結果、「不適切な言動」や「不適切な行為」「不適切な指導」など何らかの記載があったのは48教委。全く記載がないのは19教委だった。近年、懲戒処分基準に不適切な言動などを盛り込む教委は増えており、北海道教委は今年2月に項目を新設していた。

 「不適切な言動」では「暴言」「威圧的な言動」などが挙げられ、暴言を体罰に含める教委もあった。「不適切な指導」は「存在を無視する」「心理的な攻撃を加える」などが例示されていた。「精神的な苦痛を与える」など児童生徒への影響について触れたものもある。

 また、67教委が集計した20〜22年の懲戒処分の内訳は、不適切な指導で免職5件▽停職29件▽減給37件▽戒告40件。懲戒処分に至らない訓告などは846件だった。一方で体罰は免職3件、わいせつは免職331件だった。一人で複数の処分項目に該当した場合は全て計上した。

 児童生徒への不適切な指導をめぐっては、自ら命を絶った子どもの遺族らでつくる「安全な生徒指導を考える会」が、「指導死」が引き起こされているとして文部科学省などに是正を求めてきた経緯がある。

 文科省は22年に教員向けの手引書「生徒指導提要」を改訂し、不適切な指導の例として▽怒鳴る、物をたたくなどの威圧的な言動▽事実確認が不十分な思い込みによる指導▽他の児童生徒の面前での叱責――などを例示した。不登校や自殺のきっかけになるとして「決して許されない」としている。昨年3月には、懲戒処分基準で不適切な指導を規定していない教委に対し、「基準に定めることが望ましい」との通知を出した。

 不適切な指導に詳しく、関連の著書がある臨床心理士の村中直人さんは「公教育で懲戒処分の基準がバラバラであるということは問題だと思う」としたうえで、「基準を設ければ一定の抑止効果はあるが、不適切指導の背景には、過度に統率を求める画一的な授業のあり方や教師の多忙さがある。一人一人の児童・生徒に合わせた学びの個別最適化や、働き方の改革を進めて、根本的な解決に結びつけることが欠かせない」と指摘する。【村田拓也】

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