スマホ内の性的画像 削除させた学校側に賠償命令「保全義務ある」
朝日新聞デジタル 2024/9/6(金) 19:00配信
娘が性被害を受けたかどうか、証拠になりうる画像や動画を公立中学校の教頭が削除させ、事実関係の把握が難しくなったとして、両親が学校のある自治体と北海道に慰謝料など合計約110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、札幌地裁であった。守山修生裁判長は、保全措置を講じる義務に違反したとし、合計44万円の支払いを命じた。
判決によると、娘は中学3年だった2022年、同じ学年の男子生徒の求めに応じて、性的な画像や動画をLINEで送信。男子生徒宅で、スマートフォンで動画撮影しながら性行為をした。後日、娘から「半ば無理やりだった」と聞いた父親が、学校側に男子生徒のスマホのデータの保全を求めた。
だが、教頭は男子生徒とその両親と面談した際、スマホ内にあった画像と動画を男子生徒に自身の両親の目の前で削除させた。LINEのチャットも含めて全て消したという。
原告側は、性行為の動画の削除も教頭が指示したと主張。一方で学校側は、面談時には性行為の動画は確認できなかったと反論した。
また、2人への面談の結果、性行為に強要はなく、保全の義務は無かったと主張していた。
生徒が自らの裸を撮影し画像を送付する「自撮り」が発生していることなどから、道教育庁の手引きでは、児童生徒の性的画像が発見された場合、安易に削除するような指導は行わず、関係者への意向確認が終わるまで、学校にスマホなどを一時預けるよう指導することとされている。
守山裁判長はこの手引きに触れつつ、学校側は教育機関の立場から一定の調査をし、その過程で画像を発見した際には、男子生徒のスマホを学校に預けるよう指導すべきであったと判断。女子生徒の両親がデータを確認し、法的措置を検討する機会を奪ったとした。
娘の年齢を考えれば、性行為が2人の真摯(しんし)な同意に基づくものでも「態様によっては心身の健全な成長に悪影響を与えうる」と指摘。その上で「(学校側が)強要はないと判断していたからといって、保全の必要性は低減しない」と結論づけた。(新谷千布美)