主将の重圧、悩む高2に「二軍でいいか」と顧問
読売新聞 2013年1月11日(金)15時10分配信
大阪市立桜宮(さくらのみや)高校(大阪市都島区)の2年男子生徒(17)が体罰を受けた翌日に自殺した問題で、バスケットボール部のキャプテンを務めていた生徒の母親が自殺の4日前、「息子がキャプテンであることに悩んでいる」と顧問の男性教諭(47)に相談していたことがわかった。
その2日後には、ほとんど休んだことのなかった生徒が体の不調を理由に部活を欠席していたことも判明。しかし、自殺前日にあたるその翌日、顧問はキャプテンであることを理由に体罰を加えていた。
自殺した生徒は3年生が引退した昨年9月、自ら立候補して新チームのキャプテンになった。同級生らによると、生徒は中学時代もバスケ部の副キャプテンを務め、口下手だったが、真面目で責任感の強い性格だったという。
市教委によると、母親が生徒の様子がいつもと違うと感じたのは自殺の1週間前。昨年12月19日には、心配して練習試合の観戦に行き、顧問に「息子はキャプテンであることに悩んでいる」「(キャプテンを)代えてもらっても構いません」などと相談した。
顧問からキャプテンとしての高い意識を求められていた男子生徒。顧問からリーダー論の本を借りて読むなど、必死に期待に応えようとしていたが、うまくいかない、と悩み続けていた。遠方に住む兄から電話で「気持ちを手紙に書いて渡したら」とアドバイスを受け、生徒は19日、「今私の思っていること」と題し、顧問宛ての手紙をしたためた。翌日には学校に持参したが、チームメートから「こんなこと書いたら、また怒られる」と止められ、渡せずじまいだった。
「目が開かない」。21日の終業式の朝、生徒はこう不調を訴え、珍しく学校を欠席。部活も休んだ。しかし、翌22日は部活のために登校。練習試合に臨んだ。
「キャプテンだったら、ルーズボールは一番に取りに行け」。タイムアウトをとった顧問は厳しく生徒を叱り、頬や頭を何度もたたいた。練習後、生徒は教官室で顧問と一対一で面談。「キャプテンがしんどい」と打ち明けると、顧問は「じゃあ、Bチーム(二軍)でいいのか」と迫った。最終的に「キャプテンを続けるのか」という問いに、生徒は「頑張ります」と答え、面談を終えた。帰宅後、「今日も30〜40発ぐらいたたかれた」「Bチームでいいのかと言われ固まって何も言えなかった」と母親に打ち明けたという。
翌23日朝、生徒は自宅で首をつって死亡しているのが見つかった。