堀越学園元理事長横領:起訴内容認める 美術品所有者と示談−−地裁初公判 /群馬

堀越学園元理事長横領:起訴内容認める 美術品所有者と示談−−地裁初公判 /群馬
毎日新聞 2013年2月15日(金)13時5分配信

 他人の古美術品に無断で譲渡担保権を設定したとして、横領罪に問われた学校法人堀越学園(高崎市)の元理事長、堀越哲二被告(65)=同市乗附町=の初公判が14日、前橋地裁(吉井広幸裁判官)であり、堀越被告は起訴内容を認めた。また、堀越被告と、古美術品の所有者とその父親の間では示談が成立したことも同日、明らかになった。堀越被告は、引き継ぎが終われば同学園の全役職を辞任する意向も示した。
 検察側の冒頭陳述によると、同学園の経営は、09年秋ごろには教職員に対する給与の遅配が発生するなど、行き詰まっていた。正規の金融機関から新たな融資を受けることができなかったため、所有者から無償で借り受けていた甲冑36点(1億4190万円相当)と古伊万里63点(7294万円相当)に無断で譲渡担保権を設定し、10年1月上旬、大阪市内の貸金業者から6500万円の融資を受けたという。
 また検察側は、堀越被告が別の貸金業者からも古美術品を担保に融資を受けていたと指摘、10年5月には、古伊万里29点を除く古美術品70点を1000万円で売却し「教職員の給与支払いなどに充てた」と述べた。さらに、古美術品が学園の所有物であると偽装するため、同年4月に開催された理事会の議事録の内容の改ざんを指示したと主張した。
 一方、堀越被告側は弁護人冒頭陳述で(1)犯行を認め、深く反省している(2)学納金が入り返済が確実な見込みのもとで譲渡担保に入れ、実際に返済して担保権も解除になっている(3)借入金は全額学園の運営資金として使っている−−などと、量刑の酌量を求めた。
 被告人質問では、運転資金として年間10億円の銀行融資が打ち切られ、学園の資産も使い果たし、月8000万円の資金繰りに悩んでいたことを明らかにした。また、検察側が「古美術品を所有物である旨仮装するため、秘書に指示して理事会議事録を改ざんさせた」と述べたのに対し、「良心から、作成途中に『案』で止めた。正規の議事録にはなっていない」と主張した。逮捕当初で寄贈されたものと供述していたことについては、一貫して「勘違いだった」と主張、吉井裁判官からも「価値のあるものなのに、勘違いしたのか」と念を押される場面もあった。
 示談は堀越被告が2人に謝罪し、1500万円を支払ったという内容。公判で明らかにされた。【角田直哉、増田勝彦】
2月15日朝刊

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