手続きミスによる失職や採用取り消しも 教員免許更新制の課題とは

手続きミスによる失職や採用取り消しも 教員免許更新制の課題とは
ベネッセ教育情報サイト 2013年10月22日(火)16時15分配信

教員免許の更新をめぐり、手続きのミスによって更新が行われず失職したり、採用が取り消しになったりするケースが、少数ながらも発生している。教育動向に詳しい教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に、現状の問題点も含め、文部科学省が乗り出した検証作業について解説していただいた。

■「更新講習の日程が苦しい」という声が
まず、教員免許更新制は、10年に一度、大学などで開講される更新講習を2年間のうちに計30時間以上受講し、免許管理者である都道府県警教育委員会への手続きも自身で行わなければなりません。対象者の大多数は夏休みの7〜8月中に受講していますが、最近は先生も夏休みに補習や部活動指導、校務に追われ「受ける側からすると日程が苦しい」という声があがっているのが実情です。

■免許を更新していなかったために採用できず
また、全国の大学から自由に受けたい講習を選べるのはよいのですが、人気講座はインターネットの申し込み開始後、瞬時に定員に達するといいます。そのため、選択講習(30時間のうちの18時間分)であっても、実際には内容より受けられる日時と場所を優先せざるを得ず、「専門教科と違うものを受けている」こともあるのです。
免許を持っていても、更新の対象年齢に達した場合、更新講習を受講しなければ教壇に立つことはできません。教委などが非常勤講師を採用しようと思っても、希望者が免許を更新していなかったために採用できなかった事態も起こっています。

■免許が失効した場合の救済措置などの検討も
文部科学省は、教員免許更新制が導入されて5年目に突入したことを受けて、講習内容の見直しや、免許が失効した場合の救済措置などの検討を開始しました。現職の先生が失職したり、必要な数の非常勤講師が確保できなかったりすれば、子どもたちにも多大な影響を与えてしまうでしょう。じっくりと検証し、先生にとっても、授業を受ける子どもたちにとっても、有意義な制度にしてほしいものです。

出典:[ベネッセ教育情報サイト]

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