田辺の中1自殺未遂 いじめ因果関係、認識に差 和歌山

田辺の中1自殺未遂 いじめ因果関係、認識に差 和歌山
産経新聞 2013年2月27日(水)7時55分配信

 ■市教委・学校と父親 難しい実態把握

 田辺市立中学校1年の男子生徒(13)が昨年12月、自殺を図り意識不明の状態となっている問題。市教委と学校、生徒の父親が26日に相次いで記者会見を開いたが、自殺未遂といじめの因果関係をめぐり、両者の認識に大きな隔たりがあることやいじめの実態把握の困難さが浮き彫りになった。市教委は今後、第三者委員会の設置も検討する意向を示している。

 市教委はこの日、生徒が自殺未遂後に全校生徒を対象に行ったアンケートの結果を発表した。1年生134人のうち8人が「男子生徒が嫌なことをされているのを見たことがある」と回答。そこには「望んでいないあだ名をつけられていた」「ズボンの脱がし合いがあった」「バスケットボールを背中から臀部にぶつけられていた」などと記されていたが、中村久仁生教育長は「本人が悩み苦しんでいたことが浮かんでこない。現時点では自殺未遂に直接つながる要因は見つけられていない」と述べた。

 しかし、父親が語るいじめの様相は異なる。

 生徒は部員らによるいじめを姉にたびたび相談しており、「トイレをのぞかれた」「弁当箱や水筒を壊された」「真面目に活動しているのに、部活の顧問に『サボっていた』とウソの報告をされた」などと話していたという。昨年8、9月には「毎日嫌なことをされるんや」、10月には「部活動をやめたい」とSOSを発していた。

 だが市教委や学校は、自殺未遂直前の12月11日に実施した2学期の自己評価で、生徒は友人との関係を最高評価の「A」とし、「クラブ活動が良かった、友達関係も良くなってきた」と記入していたと強調。一方、父親によると、生徒は同じ12月、姉に「もう諦めた。無駄や」と話し、学校の話題を避けるようになっていたという。

 父親は「息子が自殺を図ったのはいじめ以外考えられない。学校の調査結果は満足できるものではなく、対応には強い不満をもっている。真実を知りたいだけで、真摯に対応してほしい」と訴えた。

 中村教育長は「今後も彼を追い込んだ原因が学校生活になかったか調査を進めていきたい」としている。

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