堀越学園・解散命令へ:創造学園大、最後の卒業式 証書に学長名なく式辞もなし /群馬
毎日新聞 2013年3月17日(日)12時32分配信
文部科学省が今月中に法人解散命令を出す学校法人堀越学園(高崎市、福田星人理事長)が運営する創造学園大の最後となる卒業式が16日、同学園中山キャンパス(高崎市吉井町岩崎)で行われた。【増田勝彦】
◇将来を見失いそうな時期も仲間と助け合い支え合えた
同大の学長を巡っては、堀越哲二元理事長=横領罪で懲役2年6月、控訴中=の学長職などの地位を確認する判決が、前橋地裁高崎支部で出されている。しかし、この日授与された卒業証書には、大学名が記されただけで学長の名はなく、学長による式辞も行われなかった。
学園によると、今年度卒業生は54人(東京校を含む)、研究修了生が1人。各学部長から代表に卒業証書が手渡され、卒業生を代表して創造芸術学部音楽学科、山賀千穂さん(22)が「私たち4年生は、本学の大きな問題に一番かかわっていた学年。将来を見失いそうな時期もあった。しかし、仲間と助け合い、支え合って、卒業することができた」などと、大学生活を振り返り、声を詰まらせながら答辞を読み上げた。
◇さまざまな思い胸に 「先生は無給で授業してくれた 自分『よく頑張った』」 「後悔はしていない 学校でたくさん出会えたから」
卒業生は、さまざまな思いを胸に式に臨んだ。
創造芸術学部音楽学科の柳沢孝明さん(23)は「先生たちは給料も出ないのに最後まで授業をしてくれて本当にありがたかった。卒業できて良かった」とほっとした表情を浮かべた。3年時には、大学の経営問題が報道で取り上げられるようになり、学生や教員が次々とキャンパスを去った。友人同士で「学校がなくなったらどうしよう」と話すこともあったが、大学側から直接の説明は最後までなく、不安だけが募った。卒業証書を受け取り、自分自身を「よく頑張った」とねぎらったという。
答辞で「この学校に来て大変だったけれど、後悔はしていない」と述べた山賀千穂さんは「この学校でたくさんの仲間に出会えたから」と理由を話す。大学の解散については、「まだ来週も授業に来る感覚がある。実感がわかない」と話した。【塩田彩】
◇創造学園大の歴史
前身の高崎短期大学は1981(昭和56)年に、音楽科の単科短大として開校した。同短大設立準備に携わり、県合唱連盟理事長を務めた斎藤民さん(04年死去)の著書「音楽とその心」によると、群馬交響楽団と関係の深い作曲家の近衛秀麿さんと、井上房一郎さんが「観音山に音楽学校を作り、群響メンバーを養成したい」との思いを持ち、感銘した学校法人堀越学園を創設者、堀越久良さん(06年死去)が設立に動いたという。88年に美術科を加え、高崎芸術短大と改称。04年に4年制大学としてスタートした。【増田勝彦】
3月17日朝刊