品川・中1自殺 暴行関与の同級生、児相通告へ 警視庁

品川・中1自殺 暴行関与の同級生、児相通告へ 警視庁
産経新聞 2013年4月18日(木)7時55分配信

 東京都品川区で昨年9月、区立中学1年の男子生徒=当時(12)=が自殺した問題で、男子生徒が同級生から殴られるなどしているのを目撃した複数の生徒の間で、証言が食い違っていることが17日、捜査関係者への取材で分かった。このため、被害届を受理した警視庁の捜査は事実認定が難航。自殺といじめの因果関係を明確にしないまま、暴行に関与した同級生数人を児童相談所に通告するとみられる。

 ■証言に食い違い いじめ認定難航

 品川区教育委員会が昨年11月に公表した調査結果によると、男子生徒は昨年5月以降に同級生6人から複数回、暴行されるなど、いじめを受けていた。自殺当日の9月26日にも殴られるなどしており、「自殺といじめには密接な関係があった」と結論づけている。

 警視庁は今年1月、父親から被害届を受けて本格的に捜査を開始。同級生の一部は区教委に暴行の事実を認めているが、「(当事者の生徒から)事情を聴く前に事実関係をはっきりさせておく必要がある」として、他の生徒数十人から順次、話を聴いている。

 捜査関係者によると、男子生徒が殴られたり蹴られたりしているのを複数の生徒が目撃していたが、「いじめに見えた」と説明する生徒がいる一方で、「男子生徒は笑っていて、じゃれているように見えた」と証言する生徒もいた。

 教諭ら大人の目撃証言もなく、男子生徒が治療を受けていないため、暴行による傷の程度も分かっていない。学校生活への影響を懸念して聴取に応じない生徒がいるほか、区教委の調査結果を踏まえた“思い込み”のような証言をする生徒もいるという。

 男子生徒は自殺当日の9月26日も暴行を受けており、部活の練習を休み、午後4時ごろに帰宅。母親の外出中に自殺を図ったとみられ、同7時半ごろに帰宅した母親が寝室のベッドで首をつっているのを発見し、間もなく死亡が確認された。

 室内に「さよなら」と書かれた遺書とみられるメモが残されていたが、動機には言及していない。同様のいじめを受けても自殺まで至らなかったケースもあり、捜査幹部は「自殺に追い込んだ本当の理由は分からない」といじめと自殺の因果関係に頭を悩ませる。

 ■「子供はあいまい」因果明確にせず

 警視庁は男子生徒が自殺した事実を重くみて、いじめを主導したとされる数人については、児童相談所に通告する方針だが、自殺については事実関係の報告にとどめる見通しだ。

 捜査関係者は「子供は証言があいまいなこともあり、客観的な証拠がない限り、事実認定さえも難しい」と打ち明ける。

 子供の自殺問題に詳しい筑波大の高橋祥友(よしとも)教授は、今回のケースについて「いじめで孤独を感じる『準備段階』は作られていたといえる」とした上で「自殺のきっかけは、別の理由の場合も多い。子供が出したサインに気がつけるかは周囲の人間関係次第で、一概には言えない」と指摘する。

【用語解説】児童相談所

 児童福祉法に基づき、全国に設置された18歳未満の子供に関する相談機関。児童福祉司や児童心理司などの専門職員が配置され、虐待を受けた子供の保護のほか、育児や不登校などの相談にも応じる。不良少年や14歳未満の触法少年については、警察当局から送られる児童通告書を基に本人や保護者を指導するなどし、事案の重大性を考慮して独自の判断で家裁送致することもある。

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