(朝鮮日報日本語版) SAT問題流出:「証拠見つかれば再び韓国で試験中止も」

(朝鮮日報日本語版) SAT問題流出:「証拠見つかれば再び韓国で試験中止も」
朝鮮日報日本語版 2013年5月28日(火)12時38分配信

 米国の大学進学適性試験(SAT)の問題流出疑惑を受け、5月に予定されていた韓国でのSATが中止されたのに続き、6月のSAT科目別試験の生物も中止され、さらには韓国の一部の受験生が6月の試験を受験できない事態となった。

 SATの作成と成績処理を行う米国ETS(教育試験サービス)のレイ・ニコシア試験倫理室責任者(写真)は電子メールによる本紙とのインタビューで「今後も韓国でSATの試験を受けられるよう試験場を維持する計画だが、試験問題が流出した証拠が見つかれば、個別の試験を再び中止することもあり得る」と述べた。5月、6月の試験と同様、今後も突然試験を取りやめる可能性があるということだ。米紙ニューヨーク・タイムズはかつて、ETSのセキュリティー責任者を務めるニコシア氏を「ETSの警察ボス(top cop)」と表現した。

■事態が収まらないワケ

 今回のSATをめぐる一連の事態は、今年2月に韓国の検察がSAT対策を行うソウル市内の語学スクール8校を家宅捜索し、既出問題の束を押収したことが発端だった。韓国の大学修学能力試験(修能=日本の大学入試センター試験に相当)と米国のSATの様式が大きく異なり、事態は次第に大きくなった。修能は毎年新たに問題を出し、試験が終わるとすぐにEBS(韓国教育放送公社)の講師が解答の解説を行うが、SATは問題をたくさん集めて問題プールを作成し、その中から順次出題していく形を取っている。そのため、出題された問題について試験後に話し合うことは、厳密に言うと不正となる。

 ニコシア氏はこれについて「学生たちが試験後、問題について一般的な会話を交わす程度は私たちも理解できる」と述べた。だが、それ以上は駄目というわけだ。同氏は「学生たちが問題内容やエッセーのテーマ、試験の場所など具体的な内容を他人に伝えることは、口頭、電子メールなど方法を問わず全て不正に当たる」と説明した。こうしたことは、SATを受ける前に学生たちがサインする「同意書」に明記されている。

■「韓国の語学スクールが問題」

 ニコシア氏はまた「韓国の学生よりも韓国の語学スクールの方が問題だ」と指摘した。語学スクールのせいで、韓国で5月のSAT全てと6月のSATの生物試験を相次ぎ中止せざるを得なかったというわけだ。同氏は「(SATを主管する米非営利民間機関の)カレッジボードが許可していない試験資料を保有または公開する行為は全て不正だ」と述べ、韓国の語学スクールの間で出回っている、いわゆる「既出問題」は大半が不正だとの姿勢を強調した。

 続けて「韓国の学生たちは知らず知らずのうちに語学スクールの影響を受けているが、スクール側は金稼ぎのためにSATの問題を不正に入手し、蓄積してきた。韓国の検察がその証拠資料を押収してこちらに送ってきた」と説明。資料を検討した結果、SATの信頼性を守るには韓国での一部試験を中止するほかなかったという。

■「不正の証拠見つかれば成績を無効に」

 問題は、不正を行った数人が償いをすれば終わり、というわけにはいかないことだ。さらに、韓国の数校の語学スクールによる不正行為で、SATが数十年かけて築き上げてきた問題プールシステムに穴が開いたことも深刻な問題だ。

 ニコシア氏は、韓国の検察が押収した問題の束がどれほどの分量で、SAT問題プールの何割ほどを占めるのかについては「セキュリティー、政策上の問題から回答できない」とした。

 韓国の検察が渡した資料には、昨年から今年1月までのSAT試験問題が含まれているという。ETSは既出問題そのものが不正だとしているが、すでにこの既出問題を参照してSAT試験を受け、米国の大学に合格した学生が大勢いる可能性もある。

 これに対しニコシア氏は「現在のところ証拠はないが、試験の点数が正しくないという証拠が見つかれば、すぐに点数を取り消し、該当の大学にも通知する。私たちは不正行為を周期的に調査し、不正を暴く特許技術を多数持っている」と話した。

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