<宮城県教委>同僚暴行の50代教諭を処分せず

<宮城県教委>同僚暴行の50代教諭を処分せず
毎日新聞 2013年6月2日(日)14時40分配信

 宮城県内の公立中学校で2011年、部活動の体育館使用を巡るトラブルで、50代男性教諭が30代男性教諭の胸ぐらをつかむなどして暴行罪で略式命令を受けたが、県教委が懲戒処分にせず、発表もしていなかったことがわかった。同県教委には、暴行事案の場合、懲戒処分とする基準があるが、県教委は処分しなかった理由について「総合的な判断」としている。

 関係者によると、11年9月、運動部顧問だった被害教諭が予約していた体育館の使用を取りやめたことを連絡しなかったため、体育館を使えなかった別の運動部顧問の加害教諭が腹を立て、職員室で被害教諭の胸ぐらをつかみ机に押しつけたという。被害教諭は頸椎(けいつい)捻挫と診断されて約6カ月間休職し、現在も通院中。12年6月に公務災害にも認定された。

 被害教諭の告発を受けて、加害教諭は暴行容疑で書類送検され、12年3月、仙台簡裁から暴行罪で罰金10万円の略式命令を受けた。

 宮城県教委には、傷害事案ならば停職または減給、暴行ならば減給または戒告、との懲戒処分基準がある。しかし県教委は「過去の類似事例などを総合的に考慮し、懲戒には相当しないと判断した」としている。懲戒より軽い処分は市町村教委が行うため、この中学がある自治体の教委が12年7月、加害教諭を訓告とした。

 宮城県教委では、生徒に体罰を繰り返して2人を骨折などさせた高校教諭を懲戒処分にしていなかったことが、今年4月に判明している。【山越峰一郎】

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