横浜商大高柔道事故訴訟 原告が逆転勝訴、学校に過失、賠償命令/神奈川

横浜商大高柔道事故訴訟 原告が逆転勝訴、学校に過失、賠償命令/神奈川
カナロコ by 神奈川新聞 2013年7月4日(木)4時0分配信

 私立横浜商科大学高校(横浜市旭区)柔道部の練習中の事故で重度の障害を負ったとして、当時1年の北川大輔さん(20)=横浜市保土ケ谷区=と両親が同校に逸失利益など約2億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(難波孝一裁判長)は3日、「顧問は注意義務を怠った」と過失を認め、同校に約1億8700万円の支払いを命じた。一審横浜地裁判決は過失を否定、請求を棄却していた。

 判決によると、北川さんは2008年4月に同校柔道部に入部。同5月3日、大会会場で、準備運動もなく、経験も体格も異なる同級生に投げられ倒れた。病院で急性硬膜下血腫と診断され、現在も意識不明で常に介護が必要な状態が続いている。

 判決理由で難波裁判長は、事故発生時、北川さんは1カ月前に柔道を始めた初心者だったとして、「技量差も体格差も大きい同級生と練習を行えば、傷害を負う危険性が高いことを教諭は十分に予見できた」と指摘。教諭が指導した形跡がなく、準備運動しないまま練習に参加したことを見逃すなど、注意義務違反があったと判断。受傷との因果関係を認めた。

 一審判決は「北川さんは受け身を取る技術はあった」などとして、学校側の過失を否定していた。

 学校側は「判決の詳細を把握していないのでコメントできない」とした。

◆父親「判決道しるべに」
 東京高裁判決は、初心者への指導や配慮を怠ったとして、指導者の注意義務違反を明確に認定した。柔道事故が後を絶たない中、北川大輔さんの父・広隆さん(57)は「判決が安全指導への道しるべになってほしい」と期待を込めた。

 北川さんは高校入学まで柔道経験がなく、事故発生までの練習日はわずか19日間。入部1週間後には、練習中に脳振とうを起こしていた。だが事故当日、準備運動もないまま体重が倍もある経験者の同級生に投げられ、意識を失った。

 難波裁判長は「北川さんの技量は未熟で、教諭が練習に参加させないなどの指導をしていれば、受傷は回避できた」と批判した。

 この29年間、柔道事故で118人の中高生が死亡。広隆さんは「防ぐ手だてがあるのにしてこなかった。事故は人災」と憤る。

 今年3月に20歳になった息子は眠ったままだ。「悲しく、つらい思いをするのは、子どもたちと家族。指導者は、安全指導に対する意識を改めてほしい」と訴えた。

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