<損賠提訴>「部活で殴られ聴力失う」学校側を高校生訴える
毎日新聞 2013年7月11日(木)22時21分配信
高校1年の男子生徒(16)が剣道部の上級生に殴られ左耳の聴力を失ったとして、上級生と、通っていた帝京第五高校(愛媛県大洲市)を運営する帝京科学大(東京都足立区)を相手取り、慰謝料など約3400万円の損害賠償を求め、広島地裁三次支部に11日、提訴した。
訴状によると、男子生徒は昨年6月11日、同校の寮内で、部のミーティングに遅刻したことや部活動への姿勢について2年生部員から叱責され、平手で耳の近くを殴られた他、胸や顔を蹴られたり、ドアに頭を打ち付けられるなどした。男子生徒は耳に痛みを感じながらも我慢していたが、同月14日に受診して入院。左耳の聴力が失われ、回復しないとの診断を受けた。剣道部監督や校長らは、部活動や寮生活で暴力事件が起きないよう指導、監督する注意義務を怠り、帝京科学大には使用者責任があるとしている。
男子生徒は事件後に自主退学、現在は広島県内の高校に通っている。男子生徒の弁護士は「剣道部全体にまん延していた暴力体質の中で事件が起きた。損害賠償と共に部の体質を問いたい」と話している。帝京科学大は「訴状が届いていないためコメントできない」、帝京第五高校は「裁判に影響するのでお答えできない」としている。【石川裕士】