公募校長トラブル「11分の6」の衝撃、研修や採用基準の見直し急務に
産経新聞 2013年9月21日(土)17時54分配信
大阪市の橋下徹市長が導入した公募制度で就任した民間出身の校長や区長による騒動が止まらない。とりわけ4月に着任した校長は11人のうち6人が不祥事やトラブルなどを起こしており、「11分の6」の衝撃は市議会の猛反発を招いている。前向きな取り組みを進めながらも手続きミスで問題化する事例もあり、今後も民間人校長を採用する市教委では採用基準や研修方法などの見直しが急務となっている。
■批判浴びる「欠陥」
「校長は11人中、6人。教育崩壊以外の何物でもない」。20日午前、市議会の公明、自民、民主系3会派の幹事長らが橋下氏を訪れ、厳格な処分や採用方法に問題がないか点検を促す申し入れ書を渡した。
校長職として3年の任期で採用され、他の職務に就けないという制度上の「欠陥」についても批判があった。橋下氏は「不適格なら分限対象。指導研修をして、適格性を見極める」と分限免職の可能性に言及。同席した市教委の永井哲郎教育長も「雇用のあり方を議論していく」と述べ、火消しを図った。
校長11人は書類選考や2度の面接を経て、928人の中から選ばれた。3カ月間ほどの研修では法令や服務規程を勉強。3つの学校を訪れ、校長に付き添って実務を学んだ。
市教委幹部は「いい研修ができたと思っていた」と振り返るが、わずか半年の間に1人が早期退職し、2人がセクハラ行為などで懲戒処分や厳重注意を受けた。そして今月19日、追い打ちをかけるようにパワハラの疑いなど新たに3人のトラブルが発覚した。
■「効果」は早期開示
市教委によると、校長3人がそれぞれ(1)口論となった教頭に謝罪を求めて教頭が土下座した(2)女性教職員6人に「なんで結婚しないのか」などと質問した(3)出張や時間休の手続きをとらずに数時間外出して中抜けした−とされる。
(1)の校長は産経新聞の取材に「『土下座しろ』とは言っていないが、土下座するような関係は適切ではない」と反省の言葉を述べた。(2)の校長は「着任直後、家族構成などを確認した際に結婚の有無は聞いたが、『なぜしないのか』などは絶対に言っていない」と反論。一方、(3)の校長は放課後に児童の学習指導を行う学生ボランティアの確保に動くなどしていたといい、「時間休などの手続きを熟知していなかったことはミスだが、仕事の関係で出かけた」と強調した。
公募への批判が強まる中、市教委は来年の35人着任に向け準備を進める。20日には第2次選考で71人が残ったことを発表した。市教委幹部は「セクハラなどが続いたことで『外部人材は校長としての覚悟がない』と思われている。次の採用では研修の内容を大きく変えないといけない」と厳しい表情で語る。
橋下氏は「民間から公務員の世界にきて、はじめから公務員と同じ振る舞いをするのは無理。失敗もあると思うが、プラスの効果がある」と擁護するが、太田肇・同志社大教授(組織論)は「畑違いの人材を教師という玄人集団のトップに立てるのは無理がある」と批判する。
一方、人材コンサルタントの常見陽平氏は「トラブルの原因を早く総括した上で、『効果』を強調するなら具体的に示したほうがいい」と提言している。