(朝鮮日報日本語版) 保育所の不正行為、報復恐れる内部告発者

(朝鮮日報日本語版) 保育所の不正行為、報復恐れる内部告発者
朝鮮日報日本語版 2013年10月30日(水)10時51分配信

 「写真は…撮らない方が助かる」。一人がためらいがちにそう言うと、出席者たちは皆、写真撮影を拒否した。それからしばらく、不自然な沈黙に包まれた。警察が「報復型犯罪は最も厳しく処罰する。あまり心配しないでほしい」といって受賞者を安心させたが、ムードは変わらなかった。

 今月24日午前9時30分ごろ、ソウル松坡警察署で行われた「悪徳保育所通報者表彰式」での光景だ。不正を働く保育所に対する捜査を行ってきた同署が、決定的な証拠となる情報を提供した市民8人に対し感謝するため、表彰を行ったのだ。

 過去1年間、不正を働く保育所に対し行われた捜査で、少なからぬ成果が得られた。ソウル市・京畿道一帯で不正を働く保育所238カ所を摘発し、国庫から84億ウォン(約7億7600万円)もの金を横領していたことを確認、約200人の経営者を刑事訴追した。捜査は児童虐待や食材費の水増し請求、リベート、実在しない保育士の登録など、保育所のあらゆる不正行為に及んだ。

 松坡区パンイ洞の保育所の女性園長(60)は、1歳に満たない赤ちゃんに対し暴行したとして検挙され、また江東区のある保育所は、消費期限を過ぎた生の鶏肉でおかゆを作り、園児たちに食べさせていたことが判明した。これらの捜査は、内部告発がなければ不可能だった。だが、今回表彰された保育所の保育士や調理師、保護者たちは「園長からの脅迫や嫌がらせに苦しめられ、日常生活に支障をきたしていた」として、苦しい心境を打ち明けた。

 警察が29日に発表したところによると、実際に警察の捜査を受けた保育所の園長は、電話やメールなどを通じ、自分を告発した保育士たちを脅迫していたことが分かった。表彰式に出席した保育士パク・ソヒさん(40)=仮名=は、不正を働いていた勤務先の園長から暴言を浴びせられたという。

 内部告発をした後、強制的に退職させられた保育士たちは、再就職もままならないと打ち明けた。不正を働いた保育所の園長が「ブラックリスト」を作成し、保育所連合会に送ったためだ。保育士のキム・ユンジュさん(30)=仮名=は別の保育所に面接を受けに行ったところ、園長に「電話で照会したところ、あなたがいまいちだといううわさが流れていた」と言われたという。

 問題提起した保護者たちも被害を受けている。告発された園長らが「内部告発した保護者○○のせいで、子どもたちの面倒を見られなくなった」と言いふらしているのだ。保護者のチェ・スヨンさん(34)=仮名=は「不正を働いた保育所の園長が『お前らの子どもたちはもう行く所がない』と脅してきたが、実際に家の近くで、うちの子たちを預かってくれる保育所はどこにもなかった。周囲の目も気になるし、まともな保育所もないため、結局京畿道に引っ越した」と語った。

 内部告発をした人たちを保護するシステムも依然として不十分だ。国会政務委員会に所属する与党セヌリ党の朴敏植(パク・ミンシク)議員によると、2002年以降に不正行為を内部告発した人から、保護を求められたケースが178件あったが、措置が講じられたのは62件にすぎなかったという。ある保護者は「区役所に届け出た日に園長から電話がかかってきた。内部告発者の名前や告発内容まで、すぐに保育所側に伝わるのは話にならない」と怒りをあらわにした。警察の関係者は「区役所や保育所連合会を通じ、内部告発者の身元が知られるケースがある。内部告発者の情報は徹底的に保護すべきだ」と語った。

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