殺人容疑で逮捕の男、鑑定留置へ 地検支部方針 北九州死傷事件

北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年生の男女2人が刺され死傷した事件で、殺人と殺人未遂容疑で逮捕・送検された無職平原(ひらばる)政徳容疑者(43)について、福岡地検小倉支部が鑑定留置を始める方針を固めたことが、関係者への取材でわかった。事件当時の精神状態を調べる。 鑑定留置は、専門医が容疑者の成育歴や精神疾患の有無を調べる手続き。精神鑑定の結果をふまえ、地検支部が刑事責任能力の有無を判断し起訴するか決める。今後想定される裁判員裁判では、事件に至る平原容疑者の精神状態が争点の一つになる可能性があり、地検支部は専門医の見解を得ておく必要があると判断したとみられる。 事件は昨年12月14日午後8時25分ごろ、同区徳力1丁目の「マクドナルド322徳力店」で発生。レジに並んでいた男子生徒(15)が腰付近を刃物で刺され全治1カ月のけがを負い、中島咲彩(さあや)さん(当時15)が腹部を刺され死亡した。平原容疑者は男子生徒に対する殺人未遂容疑、中島さんに対する殺人容疑で逮捕・送検された。 県警によると、平原容疑者は、殺人未遂容疑で逮捕された際は「たしかにその行為をしました」と容疑を認めたが、その後「殺すつもりはなかった」と否認。殺人容疑についても「認めない」と否認している。捜査関係者によると、取り調べ中、同じ質問を繰り返した際に激高する場面もあったという。 平原容疑者をめぐっては事件前、近隣住民との間で騒音をめぐるトラブルが起きるなどしており、昨年5月と10月には苦情を受けた警察官が注意するため駆けつけたこともあった。近隣住民によると、平原容疑者の自宅からはマイクを使ったような大きな声や爆竹みたいな音が聞こえることもあったという。 また、殺人未遂容疑で逮捕された後、弁護人が選任されない状況が続いたため福岡県弁護士会北九州部会が職権で選任するよう小倉簡裁に申し入れた経緯がある。刑事訴訟法は、容疑者が精神上の障害やその他の事情で弁護人が必要か判断できない疑いがある場合、裁判所が職権で選任できると定めている。(興津洋樹、鳥尾祐太)

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