北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が刺され死傷した事件で、殺人と殺人未遂容疑で逮捕・送検された無職平原(ひらばる)政徳容疑者(43)が16日から、事件当時の精神状態などを調べるための鑑定留置に入ることがわかった。捜査関係者や弁護人が明らかにした。 今回の鑑定留置は、検察が裁判所に対しておこなった請求に基づくもので、専門医が容疑者の成育歴や精神疾患の有無を調べる。精神鑑定の結果をふまえ、福岡地検小倉支部は刑事責任能力の有無を判断し起訴するか決める。今後想定される裁判員裁判で、平原容疑者の精神状態が争点になる可能性があり、専門医の見解を得ておく必要があると判断したとみられる。 事件は昨年12月14日に発生。平原容疑者は同19日に男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で、今月9日には一緒にいた中島咲彩(さあや)さん(当時15)に対する殺人容疑で逮捕された。 福岡県警によると、平原容疑者は殺人未遂容疑を当初認めていたが、その後、「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。殺人容疑も「認めない」と否認しているという。ただ、接見した弁護人は15日、報道陣の取材に「やってないとか、殺してないとか、強い否認ではない」と説明した。 一方、平原容疑者が逮捕後の取り調べに「事件前に生徒と目が合った」という趣旨の供述をしていたことが、捜査関係者への取材で新たにわかった。2人が歩いて入店に至る道中で車を運転する平原容疑者と接点をもった可能性もあるといい、福岡県警は引き続き動機の解明を進める。(興津洋樹、鳥尾祐太)