「薬物依存を克服し、依存症の専門医になりたい」――3度の薬物逮捕で裁かれている元眼科医の男(39)は法廷で意外な夢を語った。しかし検察は「過去の逮捕が教訓になっていない」として実刑を求刑。更生への誓いは信じられるのか? 39歳。元眼科医の男は2024年に薬物の所持や使用の容疑で3度にわたり警察に逮捕され、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪に問われている。 【事件の経緯】 2005年:仲間から誘われ大麻使用を開始 2012年:医学部在学中に大麻所持で逮捕、執行猶予判決 2020年:別の大学で医師資格を取得、研修医として勤務開始 2021年:研修医の多忙さから再び薬物使用 2024年:3度の逮捕、起訴される ■主治医が証人として出廷 弁護側の証人として証言台に立ったのは、男が薬物依存克服のために入院した病院の主治医だった。男は薬物への依存を絶つため、逮捕後の2023年10月30日からおよそ2カ月、長崎県内の病院に入院していた。今も2週間に一度通院しているという。 入院時の男の様子について主治医は「他の依存症を抱える患者とも積極的に交流している様子だった」と語った。 男は公判の中で「自分のように依存症に悩む人々を助けたい」という新たな夢を語っている。弁護士は主治医に質問した。 弁護士: 「果たして本人は依存症の専門医になる適性はあるのでしょうか?」 主治医: 「薬物依存症である当事者が依存症の専門医になったという話はきいたことがないです。しかし、他の患者とも積極的に交流している様子をみると、向いているのではないかと思います」 ■医師免許はく奪へ 弁護人によると、男は今後1年以内に医師免許がはく奪、あるいは取り消されることになっている。主治医は自身が所属する病院に、男をスタッフとして受け入れることができると話した。 検察は被告人質問で、医師という立場を失うリスクを犯してまで、なぜ薬物に手を出したのか?男に問うた。