「『Nocturne(ノクターン)』の記事を読みましたけど、オーナーの彼はすごくちゃんと戦っているなと思っています。もし法に触れているのであれば、摘発されても仕方ないと思います。でも、その基準がまったく明確じゃない。取り締まる側の気分次第とか、見せしめというイメージしかないんですよ。だから今回の裁判で明確にしてもらいたいと思っています」 そう語るのはハプニングバー経営者のX氏。彼が言う〝『Nocturne』の記事〟とは、FRIDAYデジタルが今年1月6日に配信した東京・錦糸町で『Nocturne』というハプニングバーを経営していた伊佐山達也氏のインタビューだ。昨年の10月2日に同店は摘発されて伊佐山氏は公然わいせつ幇助の容疑で逮捕、その後起訴されている。店内のフロア部分で30代の男性と40代の女性が裸になり、手淫行為をしていたところに警察が踏み込み、この男女とともに伊佐山氏も現行犯逮捕されたのだ。 12月2日に東京地裁で開かれた初公判で、伊佐山氏は起訴事実を否認し、裁判で争うこととなった。ハプニングバーが摘発された場合、略式起訴されて罰金刑というのが〝相場〟。起訴されるのは異例だ。「略式起訴で終わるなら仕方がないと思っていた。だけど起訴となったから、こっちも納得できないところは裁判の中で争おうと決めました」と、伊佐山氏は本誌のインタビューで語っていた。 伊佐山氏は、摘発時には店内に入ろうとしていた警官の受け付けをしていたため「手淫行為」は目撃しておらず、公然わいせつの「幇助」には当たらないと主張。さらに、同氏は「公然わいせつ」の「公然」の基準とは何かという点について強く訴えている。 「’22年6月に4人が公然わいせつ罪などで逮捕された浜名湖での120人乱交パーティでは、〝同好の士〟のみを集めたクローズドな場所での行為が『公然わいせつ』に当たるのかというのが争点の一つになりました。ハプニングバーも同様に店内に入れるのは、希望して会員になった人です。刑法では『公然』とはどういう状況なのかを具体的に定めていないために、摘発のたびに根強い疑問の声があがっています」(風俗誌ライター) 「友達の家で飲んでいて、そこで裸になったり性行為におよんだりしても『公然わいせつ』にはならないのに、なぜハプニングバーではダメなのか」と、本誌のインタビューでも伊佐山氏は疑問を呈していた。 この彼の主張が界隈では反響を呼んでいるのだという。前出のX氏が明かす(以下、「」内の発言はすべてX氏)。 「最近では、ほとんどのお店は入会にあたって身分証をきちんとチェックしたり、フロアで脱ぐことを禁止したり、〝プレイルーム〟に誰でも入れないように頑丈な鍵をつけたりと、法律を守り、摘発されないためにいろいろやっています。そこまでやってもビクビクしながら営業しなきゃいけないのかって多くのオーナーさんは不満に思っていると思いますよ」 ◆「エセカップルが増えた」 伊佐山氏の裁判の行方もさることながら、ハプニングバーの利用者や内容にも変化が起きている。現在40代のX氏がハプニングバーに出会ったのは十数年前。「遊ぶことよりもハプバーという空間にいるのが楽しくて」と、それ以来ハマってしまったという。 長年ハプニングバーに通っているX氏に言わせると、最近のお店の雰囲気は昔とはかなり変わったそうだ。たとえば、昔は「カップルのお客さんと遊ぶのが楽しかったですね」と語る。ネトラレ願望のある彼氏の目の前で、合意の上で彼女や奥さんと遊ぶそうなのだが、他の男に抱かれるのを見て彼氏が興奮するという気持ちが理解できなくて、逆に楽しかったそうだ。 「そういう男性って、やっぱり彼女や奥さんを自慢したいみたいなんですよね。うちの嫁、うちの彼女かわいいでしょって。でも、確かにみなさんかわいいんですよ」 だが、現在ではそういうカップルはあまり見かけなくなってしまったという。 「カップルで来ると金額が安いんですね。都内だと普通は男性1人で行くと1万5000円ほどかかるんですけど、 カップルだったら合わせて8000円ぐらいで入れる。だからマッチングアプリとか、相席屋とかでナンパした相手と一緒に来て、ワンチャン2人で遊んで帰るみたいな。そういう〝エセカップル〟が多くなりましたね」 ハプニングバー自体、時代に合わせて大きな変化の時を迎えている。 有料版『FRIDAY GOLD』では、X氏おすすめの「今盛り上がっているバー」や〝ハプる〟ための秘訣などについて紹介している。