韓国で、チョンセ詐欺の被害者が2万8000人を超えると伝えられる中、タレントのカンナム(KangNam)は、自身のYouTubeスタッフの10人中6人が、チョンセ詐欺に苦しんでいることを明かした。チョンセ詐欺とは、韓国の住宅賃貸制度である伝貰(チョンセ)を悪用した詐欺で、家主が入居者から受け取った保証金を持ち逃げしたり、物件を競売にかけて退去を迫るなどの犯罪行為だ。 チョンセとは韓国にある特有の賃貸制度。毎月家賃を支払う代わりに住宅価格の7割~8割程度のお金を貸主に「保証金」として預ける。貸主はこの多額の「保証金」を運用して収益を稼ぐというシステムだ。 物件が値上がりしていれば問題ないが、値下がりした場合、預かった保証金を物件の価格が下回ってしまうことがある。この場合は、物件を売却しても保証金を返還できなくなる可能性がある。また、制度を悪用して保証金を返還しなかったり、物件を売却してしまう事案も発生している。 カンナムは最近、YouTubeチャンネル「スタジオソル」のコンテンツ「ssulply」に出演し、「(個人YouTubeチャンネル)『Kangnami(カンナミ)』のスタッフは十数人いるが、そのうち6人がチョンセ詐欺に遭った」「まだ解決していない人もいる」と話した。 MCのイ・ソクフンは、「チョンセ詐欺は、有名芸能人もたくさん被害に遭っている」と補足。これに対し、ある不動産仲介士は「(詐欺の被害を減らすために)賃借権の設定というものがある」「絶対にしなければならないし、これをすることで転入申告が可能になる」とアドバイスした。 現地の国土交通部・チョンセ詐欺被害者支援委員会によると、2023年6月1日の特別法施行以降、委員会が認定した被害者は合計2万8087人。 これまで、チョンセ詐欺の被害認定申請のうち69.7%が可決され、16.3%(6588件)は否決となった。チョンセ保証に加入していて、保証金を全額返還されたり、競売・公売完了から2年が過ぎた被害者にあたる9.3%(3747件)は、被害認定対象から除外された。 今年から、韓国土地住宅公社(LH)による、チョンセ詐欺被害住宅の買取が、本格的に行われる。これまでLHが買い取った被害住宅は、198世帯だ。 一方、チョンセ詐欺被害支援特別法の有効期間終了が今年5月末に迫る中、国会で特別法の有効期間延長に関する議論が始まった。 国会国土交通委員会の全体会議では、チョンセ詐欺被害者支援特別法の有効期間を2~4年延長する内容を含む、特別法改正案4件が上程された。国土交通委員会のパク・ジェユ首席専門委員は、「現行のチョンセ詐欺被害支援特別法が制定されてから約2年が経過し、有効期間満了が迫っているにもかかわらず、依然としてチョンセ詐欺の被害が継続的に発生している状況を考慮すると、前向きな立法であると判断する」と強調した。 (よろず~ニュース特約・moca)