モディ首相、貿易でトランプ氏に譲歩 ウクライナ侵略で「インドは中立ではなく平和の側」

13日に米ワシントンで開かれたインドのモディ首相とトランプ米大統領による首脳会談後に発表された共同声明では、インドがロシアからの輸入に大きく依存してきた武器や石油に関し、米国産を拡大していくことが盛り込まれた。モディ氏には、インドがロシア寄りだとのイメージを拭い去り、トランプ氏の「米国第一」政策に応える姿勢を示す意図がありそうだ。 「世界はインドが中立国だと考えている。しかし、それは真実ではない。インドは平和の側にある」 モディ氏はトランプ氏との共同記者会見で、ロシアのウクライナ侵略について、こう強調した。インドがこれまでロシアを非難してこなかったことへの民主主義国家陣営の批判に反論し、停戦仲介に意欲を示すトランプ氏と思考が同じであることを訴えたものだ。 実利を優先するインドは、米欧などの制裁を受ける伝統的友好国ロシアから、安価な石油の輸入を増やしてきた。モディ氏は昨年7月、ワシントンでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議直前にロシアを訪問し、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているプーチン大統領と会談するなどして、バイデン前米政権との間に軋轢を生んだ。13日の会談ではウクライナ侵略に関し、「戦場に解決策はない」との考えを改めて示すことで、トランプ氏からの信頼を強固にすることに腐心した。 ロシアは長年、インドにとって主要な武器供給国だったが、石油に加え武器の輸入先も米国に振り分ける。インドは既に、米国産オートバイなどの関税を引き下げることも発表しており、約456億ドル(約7兆円)に上る米国の対印貿易赤字削減を図るトランプ氏に譲歩したといえる。 (岩田智雄)

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