<合否ミス>「合格印」校長が間違って押し不合格に…沖縄の県立高

<合否ミス>「合格印」校長が間違って押し不合格に…沖縄の県立高
2009年5月28日14時27分配信 毎日新聞

 沖縄県教委は27日、県立名護商工高(我謝(がじゃ)修校長、生徒数675人)が今年3月の県立高校入試で、本来合格していた生徒を誤って不合格にしていたと発表した。合格点に達していなかった別の生徒が「合格」したとして入学している。我謝校長が受験者名が入った「入試原簿」に合格印を間違って押し、補助役の教諭が原簿とは別の「補助簿」に正しい合格者に印を付けていたが、双方の照合すらしていなかった。【三森輝久】

 名護商工はこの生徒や保護者に謝罪した上で入学希望を聞いたが、生徒側は入学を望まなかったという。名護商工はこの生徒の進路について明らかにしていない。本来不合格だった生徒については「入学は取り消さない」としている。

 入試は3月9、10日。名護商工は12日、全教員が参加して合否判定会議を開いた。担当教員が判定資料を基に合格者の受験番号を読み上げ、他の教員は資料と受験番号を見ながら合否に間違いがないかを確認。我謝校長が受験者名が入った入試原簿に合格印を押し、補助役の教員が原簿とは別の「補助簿」に、合格者に印を付けていた。

 6科のうちの1科(定員40人)の判定作業をしていた際、我謝校長は読み上げられた合格者の1人に合格印を押さず、別の生徒に合格印を押してしまったらしい。補助簿には判定資料通りの合格印が残っていた。

 県教委によると通常、教員が判定会議後に複数回、判定資料と入試原簿、補助簿を付き合わせてミスがないかを再チェックする。名護商工では入試を担う「入試総務委員会」の教員が教頭を委員長に7人いたが、誰も再チェックをしなかった。

 今月21日、生徒指導の参考にしようと入試原簿を見た教諭が、合格点に達していた生徒が不合格になっているのに気づいた。

 沖縄県教委は08年度の公立学校教員採用試験の1次試験でも、事後点検を怠ったために正答例づくりや配点ミスを見落とし、一度は不合格にした約200人を追加合格させた。

  ◇   ◇

 高校入試で合格した受験生を判定ミスによって不合格にしていた沖縄県立名護商工高の問題を受け、沖縄県の金武(きん)正八郎教育長は27日夜、県庁で記者会見し、謝罪を繰り返した。しかし、原因や県教委の調査内容に質問が及ぶとしどろもどろに。07年秋に発覚した教員採用試験を巡るミスと同様にチェック態勢の甘さや、人生を左右する入試に対する自覚のなさを露呈した。

 会見では、本来合否を最終確認する教員7人による「入試総務委員会」が、なぜ最終チェックをしなかったのかに質問が集中。県教委は7人中2人にしか事情を聴いておらず「事実関係の確認に追われ、再チェックしなかった理由は聴いていない」と言い切る。金武教育長は当初、「(委員は)誰かがチェックしていると思っていたと言っている」と説明したが、7人のうち何人がそう言っているのかを問われると、言葉を濁した末に「説明が正確ではなかった。そういう話は出ていない」と訂正した。

 合格印を押し間違えた我謝校長は「合格発表前に(入試総務委員長の)教頭に『確認は終えたか』と聴くと『やった』と答えたので、再チェックされたと思っていた」と釈明。しかし、自らの押印ミスの原因については首をひねるばかりだった。

  ◇   ◇

 名護商工高の合否ミスに対し、識者から批判の声が上がっている。ジャーナリストの大谷昭宏さんは「ケアレスミスは付き物だが、入試は受験者の人生がかかっている。教育者として以上に人間としての自覚が足りない」とずさんな体制を厳しく批判する。

 今月に入り、ようやくミスが発覚したことについても「入学式の前にもう一度見直せば、こんな悲劇は防げたのでは。5月になって『あなたは受かりましたよ』なんて言われても入学は実現不能だ」とあきれた。本来の不合格者で入学した生徒についても言及し「『間違って入った』なんていわれたらかわいそう。きちんと生徒のケアやサポートもするべきだ」と注文を付けた。

 深谷昌志・東京成徳大教授(教育社会学)は原因究明の重要性を訴える。「二重三重のチェックは当たり前。誰も再チェックしていなかったというのは緊張感がなかったとしかいえない。原因などの情報を各学校が共有して再発防止に努める必要がある」と指摘した。【川名壮志、三木陽介】

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