韓国の憲法裁判所は1日、尹錫悦大統領の罷免の是非を4日に決定すると発表した。憲法裁の判事8人(欠員1)のうち6人以上が罷免を妥当だと判断すれば尹氏は失職し、60日以内に大統領選となる。憲法裁が弾劾請求を棄却すれば、尹氏は大統領職に復帰する。 罷免への賛成派と反対派は、いずれも大規模な集会やデモを続けている。 韓国の国会は、昨年12月の尹氏による「非常戒厳」の宣布を憲法違反だとして、尹氏に対する弾劾訴追案を賛成多数で可決した。これを受けて憲法裁で11回の弁論が行われ、2月25日に結審した。国会側は、戒厳令下で尹氏が軍などを国会へ投入して「国会機能をまひさせようとした」と指摘。「憲法秩序を乱す目的の暴動だ」と訴えた。尹氏側は、軍などの投入は国会で多数を占める野党の「悪事を国民に知らせるため」であり、国会機能の無力化を狙った行為ではないと主張した。 尹氏は非常戒厳を巡り内乱を首謀した容疑で1月に逮捕・起訴されたが、3月8日に釈放された。刑事裁判は憲法裁の決定後も続く。 韓国では過去に2人の大統領が弾劾訴追された。盧武鉉氏は2004年、本人や側近の不正などを巡り弾劾訴追されたが、憲法裁は弾劾請求を棄却。盧氏は大統領職に復帰した。朴槿恵氏は17年、友人の国政介入事件などを巡り弾劾訴追され、憲法裁は全員一致で罷免を決定。朴氏は失職した。【ソウル福岡静哉】