〝幻〟となった「第4の特捜部誕生」 福岡地検、工藤会壊滅で警察と連携も

東京、大阪、名古屋の各地検に置かれた特別捜査部(特捜部)。実は検察内部には、福岡地検に「第4の特捜部」が誕生するとの見立てがあった。なぜ、〝幻〟のままとなったのだろうか。歴史と経緯をひもといてみたい。 警察の「大金星」 「次は福岡だ」-。平成8年に新設された福岡地検特別刑事部(特刑部)について、検察関係者の間ではしばらくの間、こんな会話が交わされていたという。 検察当局は同年5月、全国に50カ所ある地検のうち、13カ所の大規模地検で組織改編を実施。東京、大阪に続き名古屋に3番目となる特捜部が新設されたほか、福岡や札幌など10カ所で、公安部が特刑部に衣替えした。 折しも同年11月には、警視庁捜査2課が厚生省(現・厚生労働省)の事務次官を収賄容疑で逮捕する「大金星」を挙げる。東京地検特捜部ではなく、警察が中央省庁のトップという「大物」を摘発したことは、関係者に大きなインパクトを与えた。 ある法務・検察OBは「国会議員や省庁首脳、地方自治体の知事クラスの汚職と対峙(たいじ)するのは『東京地検特捜部ばかりではない』というムードが、検察、警察問わず高まっていたように思う」と振り返る。 東京特捜の「DNA」 そんな時代の追い風を受けて、福岡地検特刑部は12年、大学や高校などを多数経営する九州随一の学校法人理事長を背任容疑で逮捕。東京地検特捜部副部長としても活躍した粂原研二特刑部長(当時)が陣頭指揮を執り、「カミソリ」の異名をもち東京地検特捜部長も務めた石川達紘・福岡高検検事長(同)が〝捜査を後見〟した。 福岡特刑部は、続いて地元の大手建設会社を法人税法違反(脱税)の疑いで摘発。これを突破口に、同社など24社が入札に参加した福岡市発注の土木工事で談合を仕切った地元ゼネコンの役員を刑法の談合容疑で逮捕し、さらに工事業者選定を巡りわいろを受け取っていた市の幹部職員も収賄容疑で逮捕した。 同OBは「1つの事件で終わらせるのではなく、不正を見逃さずに摘発の網を広げる『東京特捜のDNA』を、福岡がしっかり受け継いだ結果だった」と回想する。

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